始まりは終わりから
小説始めちゃいました。
更新遅めですがよろしくお願いいたします。
びぃぃぃぃぃぃぃぃぃ
クラクションが鳴り響いている。
うるせぇなあ。
朦朧とする脳を動かしてどこのどいつが鳴らしているのか確かめてやろうと身体を起こす。
ゴポッ
身体が動く代わりに口から血が溢れ出した。
やばい、すぐさま自分の状況を確認する。
座っているのは車の運転席だ。
けたたましいクラクションとゴムが焦げたにおい、黒い煙が周囲を覆っている。
クラクションを鳴らしているのは俺の身体だ。
顔にはエアバックが押し付けられ、身動きが取れない……交通事故か。
今日はどうして出かけたんだったかな。
軍の仕事がひと段落して休暇をもらったから家族で出かけようとして高速で首都にあるテーマパークに……家族!?
まずい、子供達は?妻はどうなった?助けなくては。
身体を動かそうとするがピクリとも動かない。頭では必死に動かしているが身体が全く動いてくれない。
ガチャリ
車のドアが開いた。誰かに身体を起こされる。傷の具合を見ているようだ。救急隊員だろうか。
とにかく妻と子供を優先してもらえるように声を振り絞る。
「お…れ……より……つ……ま……こ…ど…」
かすれた声しか出なかったが相手には伝わったようだ。大きくうなずいているのが見える。
「た……の…む」
意識がだんだんと薄れていく。
結花、ダメな夫でごめん。子供達、なかなか家に帰れない父さんでごめんな、みんな…ごめん。
視界が暗くなってくる。ああ享年55か死ぬなら戦場だと思っていたんだけどなぁ。
暗闇に落ちて、落ちて、落ちて……………
「―――さ―、――――ん、て――し――ん。」
遠くで誰かが呼んでいる。
ここはどこだ?俺は助かったのか?
「―ん―せ――――、転―い者――。」
てんせいしゃ?何を言っているんだ?
「転生者さーん、そろそろ起きてくださいよー。」
俺は寝ていたのか。声が聞こえる程度には回復しているようだ。
意識もだんだんしっかりしてきた。身体の感覚からして俺は……立っている?
そっと目を開けると目の前に可愛らしい女性がいた。
「あー、やーっと起きましたねー、転生者さん。」
何かとてつもなく嫌な予感がした。