8/8
夢はいつか覚める。
瞼を閉じれば暗闇がやって来ます。
夜であれば、瞼を開けても暗闇は瞳に張り付いたまま離れず、その恐怖に耐えきれなくなった人々は、全てを覆い尽くす闇に抵抗すべく、偽モノの光に縋って安堵を得ました。
しかし、電球にまで手の届かないおまるは、じっと息をひそめて朝日を待つしかありません。
暗闇で息を殺していると、ご主人様の寝息が聞こえてきました。
むにゃむにゃ。おかゆ、もう食べられないよ、と言っています。
のんきなものです。
おまるも諦めて寝ることにしました。
ご主人様に寄り添いながら、いつしかおまるに深い眠りが訪れました。
おやすみなさい。
苦しみ多いこの現実に生きるみなさんもどうか、
せめて夢だけは、
よい夢を。