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目指せ孤独死!御一人様!!  作者: 柳銀竜
王女ミリアンナ
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馬鹿娘

8話目です!

今回はミリアンナが消えたあとの、ゼルギュウムでの出来事です!

 


 ミリアンナが海賊船で意識を失っていた頃。


 ゼルギュウム国の王宮では、城中。大騒ぎになっていた。


 事の始まりは夕食の時間だった。


 夕刻に、侍女がミリアンナの夕食を自室に食事を運ぶため中に入った時に、ミリアンナが室内に居なかったのだ。


 侍女は初め、また昼寝でもしているのだろうと寝室を確認したが居ない。


 ならばと、厠を確認したがそこにも居なかった。


 段々と焦り初めた侍女は、女官と警備兵に声をかけ、場内にある図書館や、母である王妃の自室。


  妹姫の部屋に、兄王子の部屋。


  庭園も食堂も探したが何処にも居ない。


 もしかすると、腹をすかして厨房に迷い混んだのかもしれないと考え、厨房もくまなく探したが見つけられなかった。


 ミリアンナ王女が何処にも居ない…


 途中から事は更に大きくなり、王妃と王女と王子。その侍女や近衛兵までもが捜索を初めてしまい、城は賊でも入ったような騒ぎとなっていた。


「ミリアンナ!!ミリアンナ!怒らないから出てきて!!」


「お姉様!!何処ですか!返事してください!!」


「ミリアンナ!!今日の夕食はお前の好物だぞ!出てこい!!」


 王妃とツェリアリア。そして兄王子が、必死で叫ぶが出てこない。


「ミリアンナ様!!何処ですか!!」


「ミリアンナ様!ミリアンナ様!」


 ミリアンナを、我が子の様に可愛がっている女官長や、王族付きの侍女達も半泣きでミリアンナを声が枯れんばかりに叫びながら城内を駆け回る。


 そして、あまりの騒ぎにゼルギュウム王が、慌てて執務室から出て近くにいた侍女に叫ぶ。


「何事だ!ミリアンナがどうした!」


「お部屋におられないのです!!城内も庭園も、騎士団宿舎や馬屋まで探したのですがいらっしゃいません!」


 侍女は半泣きになりながらも王にそう説明し、侍女と共にミリアンナ捜していた警備兵も悲痛な顔で王に叫んだ。


「王妃様のお部屋にも妹姫様のお部屋にもいらっしゃいませんでした!」


 その時。


 王妃とツェリアリアが廊下に崩れ落ちる。

 そして、泣きそうにながら雄叫びのような叫び声をあげた。


「ミリアンナ!!ミリアンナぁぁぁ!!」


「お姉様ぁぁぁぁ!!」


「お前たち!母上とツェリを自室に連れていってくれ…あ!父上!ミリアンナが居なくなってしまいました!!」


 王子は、崩れ落ちる母と下の妹を侍女に預けると、父王に気付きそう口にすると王はコクリと頷いた。


「…今、侍女から聞いた…しかし居ないのか…夕食の時刻に?あの食い意地のはった娘が…直ぐに城の者をホールに集めよ!誰かみているかもしれん」


 食べる事を愛しているあの子が、夕食を自主的に抜く等あり得ない。


 緊急事態を察知した王は、城にいる皆をホールに集めるために兵士と女官長に命じた。


「「「はい!!」」」


 城中の人間をホールに集めてミリアンナが居なくなった事を説明すると、ミリアンナは下女と共に街に出た事が判明した。


 そして、街を調べ初めて数時間後。


 ゼルギュウムの港に、なんと海賊船が停まって居たことが発覚した。


 しかも、街で買い物を楽しんでいた裕福な家の子供が、数人拐われた事件がおきたらしい。


 そして、貧民街にはミリアンナが愛用していた鞄。


 王族らしくない…シンプルな作りをした…ミリアンナお手製の鞄が落ちていたそうだ。


 何故。彼女の物だとわかるのかと言うと、彼女の意匠彼女専用のマークが刺繍されていたからだった。


 なので、間違いようがない。


 それを手に取った王は、思わず呟く。


「…馬鹿娘が…」


 ミリアンナはいつも、何を仕出かすか分からない。


 産まれたときから此方の言葉を理解している様な仕草を見せ、天才では!!と思ったのだが…やる気も覇気もなかった。


 何を間違えたのか、食事の時間をこよなく愛し、暇さえあれば昼寝をしているものぐさな娘に育ってしまった。


 やれと言われた事はちゃんとするし、幼いわりに王族の責務も確り理解している。


 しかし、王族である事が面倒らしく、修道院行きを狙っている様だった。


 侍女の話では、肉と甘味を頻繁に食べられる修道院を探しているらしいが、基本的に質素な生活をする修道院で、肉が食べられる事は無い。


 そのうち諦めるだろうと放置しておけば、今度は下女を虐めたと報告が入った。


 よくよく現場を確かめると、割れた花瓶は子供の力ではびくともしない花瓶で、明らかに大人が…恐らくその、しいたげられていた下女が割ったのだと予想がついた。


 女官長と共にその下女に問いただすと、泣きながら不注意で割ってしまった事を謝罪し、ミリアンナがそれを庇っただけだと判明したのだ。


 今日。夕食の席で、ミリアンナと詳しい話をしてから謹慎を解いてやろうと考えていたのだが…


 何故。貧民街に行ったのかは予想できる。


 恐らくミリアンナは、貧民街で犯罪者が増加していると言う話を聞いて、自分の力でどうにかしてやろうと考えたのだろう。


 王族の責務として、国民の生活を向上させるために。


 馬鹿な娘だ…


 荒事を生業としている者が多く、危険地帯である貧民街に行くのならば、下女ではなく兵士を連れていくべきだった。


 危機管理が甘い!!甘すぎる!!


 しかし、ミリアンナは運が良い。


 確かマグダリア王が、ゼルギュウムの海域で海賊退治をするからと、先日許可を求めていた。


 多分。今頃は、拐われた子供と共にゼルギュウム軍に保護されるはずだ。


 帰って来たら…きつく叱ってやらなければ!!


 ゼルギュウム王は、心の中でそう叫ぶと、マグダリア王に連絡を入れる為に、マグダリア王、直通の通信魔道具を手に取った。




 それから2日して、ミリアンナを保護したとゼルギュウムに連絡は入った。


 だが、一向にマグダリア王は、ミリアンナをゼルギュウムに連れてこない。


 数日後。


 どれだけ言っても、娘を連れてこないマグダリア王に苛立ったゼルギュウム王が、マグダリアに押し掛ける…


 押し掛けたマグダリア王の執務室で、ゼルギュウム王が目にしたのは…


マグダリア王の執務室で、大層楽しげに目の前の書類を眺める娘の姿であった。


 …この数日間で何があったぁぁぁぁ!!!


 父親の苦労は続く…




父親の叫びでした。

次回も宜しくお願いします!!

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