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目指せ孤独死!御一人様!!  作者: 柳銀竜
王女ミリアンナ
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誘拐

ミリアンナ!ピンチです!

 


「わああん姉様ああああああ!!!」


 ミリアンナがトイレから居間に戻ると、其処には何故かツェリアリアがいた。

 

  彼女は、部屋の真ん中にあるソファーに行儀良く座ってミリアンナを待っていた様だ。


 この部屋の入り口の扉には、見張り兼 門番をしていた侍女達がいたはず。


 誰も入れないように、ガッツリ見張られているハズなのに何故…何故 お前がここにいるんだよ!!


「ツェリ…」


 ミリアンナが、心底 嫌そうな顔をしながらツェリアリアを軽くにらむ。

 ミリアンナがツェリアリアを睨むと、その視線を感じたツェリアリアがミリアンナが戻って来た事に気がついて、嬉しそうにミリアンナに向かって駆け出しその勢いのまま彼女に抱きついた。


「姉様が居ないと寂しい!!一緒に食事が出来ないのが寂しい!!一緒に勉強出来ないのが寂しい!!寂しいぃぃよぉぉぉ!!!姉様まぁぁぁぁぁ!!」


 ツェリアリアは、そう泣き叫びながら、ミリアンナに顔を擦り付ける。


 そんな鬱陶しい彼女を引き剥がそうと、ミリアンナが躍起になっていると、入口の扉が、バン!!!と大きな音をたてて開いた。


 そして…現れたのは…


「ツェリアリアァァァ!!」


 入り口には、門番をしていたハズの侍女達を引き連れた母が、恐ろしい形相で立っていた。


 鼻息を荒くして怒りまくっている母に、ミリアンナはちょっとビビりながら、自分にすがり付いているツェリアリアを引き剥がして、ツェリアリアの体を母に向かって差し出した。


「はい。母様」


「え!姉様?いやいやああああ」


 大好きな姉が、母に自分を差し出すなんて思ってもいなかったらしかったツェリアリアは、イヤイヤと姉のドレスをギュッと掴む。


 しかし王妃は、その手を無理矢理引き剥がし、ミリアンナから離すと、ツェリアリアの小さな体を羽交い締めにして歩きだした。


「行きますよ!!」


「母様酷い!!」


 羽交い締めにされて動けないツェリアリアが、力一杯母に叫ぶと、王妃も娘に負けないくらいの声で叫んだ。


「何よ!私だってミリアンナにくっついていたいわよ!でもね!ミリアンナは悪いことをしたの!躾はしないと駄目なのよ!!母様だって寂しいんだからね!あと5日我慢しなさい!!5日たったら、一日中ミリアンナにくっついてやるのよ!私もくっついて…」


 王妃ともあろうものが、廊下で叫ぶなどはしたない…って言うか…聞きたくなかったな…母までくっつくのか…


 謹慎が解けるのが怖いな…一生 謹慎にしてくれないかな…

 そんなことをつらつら考えながら、ミリアンナは窓枠に手をついて、ため息混じりに呟いた。


「さて行くか」


 ミリアンナはそう言うと、見張りが居ないか慎重に確かめてから窓を飛び越えて、部屋からぬけだした。


 部屋を抜け出したミリアンナは、エレナと待ち合わせた部屋で着替えると、彼女と一緒に街に行く。


 街を抜けて貧民街につくと、昨日 服を渡した器用な少年と、彼より十は歳上の数人の青年がミリアンナ達にに近づいてきた。


 昨日会話した少年の顔には、酷く殴られた痕跡がある。


 そして、青年達は薄ら笑いを浮かべながら、ミリアンナ達を値踏みするようにジロジロ見てきた…何かヤバイ気がする。


 逃げた方が良さそうだと、ミリアンナがエレナと一緒に駆け出そうとした瞬間。


 建物の角からチンピラの様な男達がぞろぞろ出てきて、ミリアンナを囲み、逃げ道を塞がれてしまった。


「おい。あの女だな」


「うん。」


 少年にリーダーらしき青年が訪ね、少年が頷くと青年はミリアンナ達に近づき彼女達を睨み付ける。


「おい。お前金持ってるんだろ?出せよ!」


「持ってない」


「嘘つけ!!おい!」


 ミリアンナが内心ガタガタ震えながらそう言うと、リーダーの青年は怒り、ミリアンナとエレナの服を剥ぎ取り身体検査してきた。


 そして、服の胸の辺りに隠していた昨日の残りを青年達に発見され全て奪われた。


「やっぱり持ってんじゃねぇか。おい!こいつら紐でしばれ!」


 取り巻きの青年達が、ミリアンナとエレナの体を紐で縛る。

 エレナは、ミリアンナを守らなければ!!と勇気を出してリーダーの青年に叫んだ。


「ミリアンナ様を放しなさい!!貴方達!私達をどうする気なの!」


 エレナが、自分達を縛り上げる青年達を睨みながら叫ぶと、リーダーの青年がバカにするような目でエレナを見下した。


「はあ?帰して貰えると思ったか?しかもそこのチビはお前貴族だろ?毛並み良いもんな。それにそのうるさい女は結構美人だし、高く売れる。こんな小金よりよっぽど儲かるんだよ」


 リーダーの青年がエレナを愉快そうに嘲笑い。ミリアンナを見ながら金の入った袋を指ではじく。


 売れる?売れるって言たか!

 ミリアンナは、怖そうなリーダーの青年を勇気を出して真っ直ぐ見る。


 私だけならまだ良いが、無理矢理連れてきたエレナは逃がさないと…

 ミリアンナは、静な口調でリーダーの青年に向かって話し出した。


「人身売買は違法だから、必ず捕まる。止めておいた方が良い。それより身代金を取った方が…ガハッ…」


「ミリアンナ様!」


 エレナは平民と思われ、自分は貴族と思われているなら、好都合。

 ミリアンナは人身売買はリスクが高いし、一般的な二人分の売買金額より、自分の方が高い金を引き出せるから、その代わりエレナを解放してほしいと口にしようとしたが、全て言い終わらないうちに青年達に蹴りつけられた。


 リーダーの青年は、ミリアンナの髪を掴み顔を上げさせると、恐ろしい顔でミリアンナを怒鳴り付ける。


「うるせぇよ!お貴族様!身代金より、売った方が確実に金が手にはいるから売るのは確定だ!おい!お前ら連れていけ!!」


「止めて!!ミリアンナ様!ミリアン…うっっ」


 ミリアンナを守ろうと、芋虫状態で出てきたエレナを、リーダーの青年がガスガスと蹴りつける。


 そして気を失ったエレナと、髪を掴まれる前に青年達に蹴りつけれた事で気を失っていたミリアンナを、外の青年達が麻袋に積める。


 リーダーの青年が嬉しそうに笑いながら、少し離れた場所にいた少年話しかける。


「ひさびさに良い商品が手に入ったな!ほらやるよ」


 リーダーの青年がそう言って銅貨を三枚少年に投げた。


 少年は地面に落ちた銅貨を拾う事無く、リーダーの青年に駆け寄りすがり付く。


「なあ!もう良いだろ!!妹をイシュを返してくれ!!」


「ああ。ほらお前の取り分だ」


 青年は更に銅貨を一枚取りだし、少年に渡した。

 少年はその意味を察して青ざめる。


「取り分?…まさか!!」


「昨日意外と高値で売れたぜ!お得意様の貴族。クルーエル男爵のとこで可愛がって貰ってるだろうよ」


 嘲るように笑うリーダーの青年を見た少年は、その言葉を聞いて震えながら呟く様に口を開く。


「…あっ…そんな…あの男爵に売られた子は…みんな…」


「明日辺り川に浮いてるかもな!!アハハ。おい!金は払ったからな。訴えたりなんかしたらわかってるだろ?お前も共犯なんだからな?」


「俺は…」


 共犯?金を貰ったから…それに妹はもう…この金があれば…


 それに俺が捕まれば…


 少年は貰った銅貨を握りしめ、落ちた銅貨を拾う。


 そして、リーダーの青年を心の中で罵りながら走ってその場を立ち去った。

 リーダーの青年に…いつか…いつか復讐してやると、心に誓いながら…


「じゃあな!おい!行くぞ!!」


 そして、青年達は誘拐した二人を担ぎ、急いで港に向かった。


 商品を他国に売るために…


 さ

誘拐でした!

ミリアンナとエレナはどうなるか…次回も宜しくお願いします!

それと、年末でかなり大掃除やら挨拶回りやら忙しいので、来週の月曜日は更新を休みます。

次の1月11日に更新します。申し訳ありません。

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