足掻いてみせる!
世界の説明を入れたらかなり長くなりました。
申し訳ありません!
今回は近代的な世界です!
両親の会話を聞いていて判明したのだが、どうやら今回はかなりの時代が進んでから転生したらしい。
暦の数え方が変わっていないと仮定して考えてみると、シリウスとして生きていた時代から三千年も時が経過しているようだった。
多分…
あの宴会で 長時間 神の世界にいたせいで、かなり転生するまで年月が開いたらしい。
病室にはテレビらしき物があるし、文明はかなり発達しているようだ。
どんな機械があるか、今から楽しみである。
転生してから数週間位すると、母の体調が回復してお医者さんから退院の許可が降りた。
病院から出ると、正面には自動車が止まっていた。
軽自動車だ。
母親に抱かれたスレイナが車内に入ると、内装も軽自動車と殆ど同じだった。
動力は何か分からないが、これなら飛行機や新幹線もあるかもしれない。
勿論。アニメやマンガ、ゲームもあるだろうから早く大きくなりたいものだ。
スレイナは幸せな気分に浸りながら、父親が運転する軽自動車に乗って、これから長く過ごす事になる自宅に向かって走り出した。
軽自動車で町を走り 病院から実家となる一軒家に着くと、スレイナは高い魔力を持っている事を悟られないように細心の注意を払いながら毎日を過ごした。
普通と違うとバレたら、平穏な生活は望めないだろうからだ。
スレイナは家の中で、いるかいないか分からないくらい大人しく過ごしていたのだが、四つ上の兄と1つ上の姉は冒険心が強く、探検と言う名の公園巡りをしながら、毎日 様々なモノを拾っては家の隅っこで寝ているスレイナに見せに来た。
この前等…
ヤモリを家の中で放してしまい、父親が悲鳴をあげて逃げ惑い 母が兄姉を怒鳴りつけていた。
父は爬虫類が駄目らしい…虫も駄目だがなにも言うまい。
それから…とりあえずは平穏な日々が続き、スレイナは三歳になった。
スレイナは動き回れるようになると、母と兄姉が居ない隙に家の中の物色を始める。
母親の部屋から、母が使っていたパソコンらしき物体を見つけると、スレイナは兄姉に邪魔されないように素早くクローゼットに隠れて インターネットの画面をクリックした。
正確な年号に死んでいた間の世界情勢。
そして、一番 気になっていたウイング家のその後を調べ始めた。
シリウスが死んでから僅か数十年後に、ゼルギュウム王家がやらかした。
何をやらかしたかと言うと、ウイング家の娘を寄越せと命令してきたのだ。
傾国美女達を。達。つまり一人ではない。
何故。そんな余りよろしくない話が 大々的に広まったかと言うと、当時のウイング女当主がお抱えの影を使い、全国の王公貴族から貧民に至るまで広めたからだ。
まるで、物の様に娘を寄越せと命じる様な屑に、自分が腹を痛めて産んだ娘達を嫁に出すなどあり得ない。
いくら王の勅命と言えど、そんな命令に従うなど…自由恋愛を推奨するウイング家の主義に反する。と言う文書をゼルギュウム王家に送り付け、同じ内容を書いた文書を全国に何百枚も書いてばらまいたらしい。
コピー機等は無い時代なので、全て手書きだ。凄い執念である。
勿論。
ゼルギュウム王は反逆罪だと激怒し、ウイング領に軍を差し向けた。
しかし、上位の文官や上位兵士の半数以上がウイング一族に属していて進軍と共に離反。
ウイング家の独立戦争が始まったのだが、1ヶ月もしない内にゼルギュウム王国は敗北した。
大臣や指揮官クラスがゴッソリいなくなってしまい、国を維持するのも難しくなってしまい戦争所ではなくなっていたようだ。
最後はやらかした王が引退させられ、ウイング家の傀儡人形の王がたち、ウイング家はゼルギュウムから完全に独立し、ウイング領とゼルギュウムの王領を吸収する形でウイング王国を建国していた。
そして今から百年位前に、ウイング王政は廃止されていた。
王が象徴的な存在になるとウイング王国はウイング国となり、政治は議会政治に変わり国会によって国が運営される事になっていた。
そしてスレイナが産まれたこの国は、大陸の中心部に位置する草原の国パォティスだった。
軍事国家らしい。
ウイング国なら徴兵は無いが、パォティスには独特な徴兵制度がある事が判明した。
どうやら六歳になると、全国民どんな身分だろうと魔力検査をうける決まりがあり、規定以上魔力があると軍に入ることを義務付けられているらしい。
不味い……非常に不味い。
スレイナは神の世界で、神の作ったモノをたらふく飲み食いした結果。今まで一番高い魔力を持っている。
神に匹敵する程に膨れ上がった魔力を持っているため、スレイナの魔力の数値は確実に軍人にならないといけない数値になるだろう。
……なんとかしなければ。
必死で調べていくと、魔力を制御できない者のために制御装置と言う物がある事が分かった。
それをつけると、魔力がほぼ0になるらしい。
しかし…
制御装置にはランクなるモノがあり、魔力が高い者が魔力に合わない制御装置を使うと、制御装置が碎けて無くなってしまうと書かれていた。
低いランクの物でもいくつも付ければ問題ないらしいが、自分が付けるとなると最上ランクのモノが必要になるだろう。
低ランクの物でも十ゴルグ。
最上ランクなら最低百ゴルグ必要だ。
高い!
一般家庭の収入が大体二十五ゴルグなので、最上ランクなど夢のまた夢だ。
因みに家は一般家庭で、工場の作業員をしている父親の収入は二十ゴルグだったりする。
家の収入は平均より低いのだ。
子供が三人いると、どうしたって足りないので母はスーパーでパートをして稼いでいる。
このパソコンも新しい物が買えないので、かなりの年代物だ。
百ゴルグが欲しい何て言えない。
それに、何に使うのかと問われるのも不味い。
この国で、軍人と言う職業はかなり高給取りで誇らしい仕事だ。
両親にスレイナの魔力が高いとバレたら、喜んで入隊させるだろう。
国の決まりだし、隠す意味はないからだ。
非道な扱いをされはしないだろうが、厳しい訓練を課せられるのは確実だ。
嫌だ!キツそうだ!面倒だ!
家族には頼れない。
制御装置は自分でどうにかしなければ!
子供でも稼ぐ方法はないかと調べていくと、なんと魔力が売り物になる事が判明した。
正確には魔力ではなく魔石。
魔力が著しく減ってしまう病気の治療や、魔力消費の激しい魔道具を使うさいに使う魔石は魔力が空になれば使えなくなる。
その魔石に、魔力を補充する事でまた使えるようになるのだ。
魔石は使い捨て電池のようなモノである。
これだ!!
使用済みの魔石は、魔石用のごみ捨て場にいけば大漁に手にはいる。
スレイナは満足げに頷くと、パソコンの電源を落としてもとの場所に戻しすと、なに食わぬ顔でリビングに戻りおやつを食べ始めた。
翌日から、スレイナは親と兄姉の目を盗んで魔石の捨て場にむかい魔石を集め始めた。
怪しまれ無いよう、少量づつ集めては魔力を注いで公園の角に隠す。
スレイナの住む都市は人口が多く、常に魔力が不足していた。
スレイナが考えるように、自分の魔力を魔石に補充して小遣い稼ぎをする者も少なくない。
なので魔石買い取りの業者は多く、規制が緩い業者もいる。
そう言う業者は、子供からでも魔石を買い取っていた。
買い取り年齢に明確な規制は無いが、魔力がまだ低い子供が無理やり魔石に魔力を補充すると、希に魔力が枯渇し稀に死ぬ事もある。
貧民層の子供達だったので、始めは余り問題視されなかったが、二桁に達した頃に世論で話題に上り、マスコミが騒ぎだしたため議題に上り、議会では規制する方向に話が進んでいるらしい。
しかし、実際に規制が始まるのは数年後だろう。
多分その頃には、スレイナは規制外の年齢になっているから大して気にもならない。
そんな事を考えながら、スレイナは隠していた魔石を紙袋にいれる。
紙袋を抱えて歩きながら、ふと 店の硝子に映る自分の姿を見る。
貧しい家の子供に見える様に、母がゴミにだした小汚ないヨレヨレのシャツとズボンをはいている自分姿にスレイナはニヤリと笑う。
これならば 怪しまれる事は無いだろう。
スレイナは紙袋をギュッと抱き締めながら、子供から買い取りをしてくれるおじさんの元に向かった。
スレイナは、それから毎日の様に貧困層の子供達に混じって魔石を売った。
怪しまれないように少量づつ。
何年も売り続けて、やっと最上ランクの制御装置を買えたのは五歳の秋だった。
秘密裏にネットで買った制御装置は、家族にも悟られないように超薄型の最新式だ。
手首では見える可能性があるので脇の辺りに左右一つづつ。
左右の足の甲に一つづつ。腰の物辺りに1つ身につけた。
最新式は本人の体に合わせて収縮し、使用期限が十年の優れものだった。
間に合った…かなりギリギリだった。
この国で六歳になる子供は、五歳の十二月に魔力検査をうけて、その結果の元に軍学校に通うか国立の小学校に通うか決まる。
軍学校に通うなら、寮生活になるので色々準備しなくてはならない。
なので早めに検査をするのだ。
因みに軍に入らない子供は、近くの国立の小学校に通うので自宅から通う事になる。
スレイナは、祈るような気持ちで自身の魔力を計ってみた。
制御装置はしっかり機能しているようで、魔力は微量しか感じられない。
これならば軍人にならずにすむ。
スレイナは、笑いを噛み殺しながら母と共に検査場に向かった。
検査場に着くと、そこはすでに長蛇の列になっていた。
少なくとも、三時間は順番が来そうに無い。
スレイナは、嫌そうにため息をつきながら最後尾に並んだ。
かなり暇なので、スレイナは列に並びながら遥か前にいる検査官の様子を伺う。
ボケーと彼を見ていると、何故か知らないが明らかにイライラしていた。
不思議に思い母に聞いてみると、母は苦笑いしながらこっそり答えてくれた。
「この都市位の規模だと、毎年三十人位は軍人になれる子がいるんだけど……見る限り、今年は十人もいないみたいだから試験官様が苛立ってるのよ。確保しておきたい人数ってあるからね」
「大人は大変だね」
どんどん列が進み、スレイナの番になると試験官の苛立ちはピークに達していたらしく、乱暴に腕を引かれ魔力を測る水晶に痛いほど手のひらを押し付けられた。
「平均以下か…落ちこぼれめ」
試験官はそう悪態をつくと、スレイナの手を離した。
スレイナは痛む手を擦りながら、母親と一緒に国立の入学説明会場に向かう。
スレイナは、痛そうな顔をしながら内心悦び叫んでいた。
策戦成功!!
厳しい訓練なんか嫌だ!軍人なんて誰がなるか!!
因みに……
今年。軍学校に通う事になった子供は、僅か十人だったらしい。
他の都市に比べて、半分もいなかったらい。
今回の世界イメージは、魔法文明で近代的な世界です。
因みにスレイナちゃんは、ソコソコ可愛い系です。




