再会と……
シリウスの章最終話です!
かなり短いですが御容赦ください。
死んだシリウスが再び目を覚ますと、そこは神の世界だった。
魂だけの世界。
つまり死後の世界だ。
今までとは違い、今回は老衰だったのでシリウスはハッキリと死を自覚している。
シリウスが意外と悪くない人生だったなと笑っていると、いきなり背中から抱き締められた。
「シリウス!」
「セレナーシア……重いと思ったらリシアンヌとサリアもか……もうダメ……」
「「「キャー!シリウス!」」」
地べたに座った状態で三人の成人女性に抱きつかれたシリウスは、三人の重さに耐えきれずペシャリと潰れた。
それを見たセレナーシア達 三人は、慌ててシリウスから離れる。
三人が離れると、シリウスはノロノロと動きだし身を起こした。
「ごめんなさい」
「申し訳ありません」
「大丈夫ですか?」
三人の女性が、シュンとして俯く。
そんな三人に、シリウスは苦笑いしながら口を開いた。
「怒ってないから悲しい顔は止めなよ。ほい。おいで三人とも」
背後からのし掛かられたら呼吸ができないが、バグするのは大歓迎だ。
シリウスが笑いながら腕を広げると、セレナーシア達三人は嬉しそうにシリウスに抱きつく。
シリウスが楽しそうに三人でイチャイチャしていると、ゴホンゴホンと咳払いが辺りに響いた。
シリウス達が、ん?と目を丸くし音がした方向を見ると、そこにはアリシオンスと毒蛇のラムがふて腐れた顔で立っていた。
「アリシオンス兄上!ラム!」
二人に気づいたシリウスは、目を見開いて驚きそして涙ぐんだ。
ラムは、シリウスが二十代半ばの頃。他国の諜報活動中に、その国の諜報員に殺害された。
そしてアリシオンスは、ラムが死んでから十年後。政敵の暗殺者に狙われたシリウスを庇い殺された。
因みにシリウスは、即位後にアリシオンスに言われ、様付けから兄上と呼び方をかえている。
懐かしい二人に再会したシリウスがノロノロと立ちあがると、セレナーシア達はシリウスの邪魔にならないように一歩下がる。
あの二人は、セレナーシア達がシリウスと出会う前からシリウスの家族だった。
彼等は若くして死んだ為に、セレナーシア達程 長くシリウスの側にいることができなかった。
そんな三人の再会を、邪魔する程三人は無粋ではない。
セレナーシアはシリウスの背中をポンポンと軽く叩き、シリウスに笑いかけた。
「いきなさいな」
「ありがとう」
シリウスはセレナーシアに後押しされて、二人に向かって駆け出しシリウスは二人に抱きついた。
「久しぶりだな。シリウス」
「立派に国を納めていたな。ここで見ていたぞ」
三人は熱い包容を交わし、言葉を交わすと様々な話になり、いつの間にかセレナーシア達も加わって辺りは酒瓶が転がり宴会場の様になっていた。
「あれ?」
「どうしたの?」
「この酒とつまみ…何処から出てきたんだ」
シリウスは、今まさに飲んでいた酒が注がれた木製のコップを凝視する。
何の疑問もなく飲んでいたが、何処から……
「私が出したんだよ」
突然。シリウスの目の前に神様が現れた。
目の前に現れた神様は、嘲笑うかのような顔でシリウスを見る。
シリウスはバツの悪い顔をした。
……神の世界なのだから、いるに決まっている…完全に忘れていた。
「忘れていただろう。私のこと」
「申し訳ありません」
本当に忘れていたので、謝るしかない。
シリウスは、土下座スタイルで神様に謝罪した…しかし神様は……
「いや許さないよ。はい!」
「え?うわぁぁ!!」
「「「キャー」」」
シリウス達の座っていた床が無くなり、六人はスポンと落ちて消えていった。
穴の正体は、転生の空間である。
「次はどんな人生をおくるんだろうね」
そう笑いながら、神様がは水鏡を除きこんだ。
セレナーシアが第一夫 シュエ。
リシアンヌが第四夫 ルシフル。
サリアが第五夫 サヴァー。
アリシオンス兄上が第二夫 グレル。
ラム兄さんが第三夫 炎華でした。
物語はまだまだ続きますので、よろしくお願いします!




