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目指せ孤独死!御一人様!!  作者: 柳銀竜
王子シリウス
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嫌がらせ

シリウス君…何か性格が…

 

 ゲオルグに弟子入りしたシリウスは、あの日から毎日。


兵士達の使う訓練場に通い、ゲオルグに剣術をならっていた。


 予想通り…いや予想以上に、ゲオルグは熱心に稽古をつけてくれた。


お陰でシリウスは、全身 アザだらけになってる。


 子供相手に、これ程 容赦なく叩きのめすなら…第一王子の教育係を外されるのは当たり前だろう。


 シリウスはそう想いながら、筋肉痛と打ち身で痛む体を無理矢理動かして、寝室のベッドから降りた。


 訓練から逃げたいが、逃げても無駄だろう。


 実は昨日。シリウスは訓練に耐えきれず、仮病を使って寝室で寝ていた。


するとゲオルグは、シリウスを確保する為に此処に突撃してきたのだ。


 サリアに、体調を崩したと連絡してもらっていたハズなのだが、自分の目で見たモノしか信じ無いらしい。


毛布にくるまりながら、熱がある!と言い張るシリウスの額をゲオルグは無言でガシッと掴む。


 熱は無い。


 直ぐに仮病に気づいたゲオルグが、シリウスの頭をバシンと一発叩き、そのままズルズルと引きずる。


そしてゲオルグは、必死で逃れようとするシリウスを引きずりながら、訓練場に連れて行った。


 因みにシリウスは、王子と言えど立場が弱いので、竜騎士団団長であるゲオルグが何をしようと、悲しいことに回りは何も言わないし庇いもしない。


  母親のシュナと侍女のサリアだけは心配してくれたが、訓練 初日にゲオルグのする事に間違いはないからと、しっかり言い含めていたので涙ながらに見送ってくれた…根性なしで御免なさい。


 そしてその日は、寝間着のまま丸一日訓練させられました。


 恐ろしい形相付きで。


 なので、サボる等…恐ろしくて二度と出来ない。


 痛かったなと擦りむいた背中を擦りながら、シリウスは洗面所に向かう。


 洗面所につくと、蛇口の上に備え付けられた魔石に触れて魔力をこめる。すると蛇口から水が出てきた。

 大体水回りはこんな感じて魔石に魔力を流して使う。


 シリウスはバシャッバシャッと顔を洗い、ガシガシと顔をタオルで拭く。


 まだ訓練に行くには早い時間だが、用事があるので訓練服に着替えて簡単な身支度をしてから部屋を出る。


 目的地は母の部屋だ。


 王様が、シュナの離宮に通っていると噂になった頃。


  王妃から、贈り物が贈られてくるようになった。


 シリウスが母の部屋の前に行くと、予想通り贈り物が有った。


 毎日毎日飽きもせず…


 シリウスは半分呆れながら、王妃の贈り物を手に中庭に向かう。


 暫く歩き離宮の中庭につくと、シリウスは回りに誰もいないのを確認してから王妃の贈り物の箱をパカッと開けた。


「今日は蜘蛛と毛虫か…俺。黒い悪魔以外は平気なんだよね」


 黒い悪魔…つまりゴキブリである。


 シリウスはハアーとため息をつくと、王妃のプレゼントを持って魔術で姿を隠すと、王妃の寝室に向かった。


 今までは普通に処分していたが、もう我慢ならない。


 シリウスが誰にも見つからずに王妃の部屋につくと、鍵がかかっていなかった窓から部屋に侵入した。


 そこで暫く待ち、侍女が掃除に来るのを待つ。

 ゲオルグは今日 会議があるらしく、訓練は昼からなので時間は十分だ。


 基本的に離宮に平民の使用人は入れないので、このような掃除などの雑用も貴族令嬢である侍女の仕事だ。


 大抵は、まだ専属が決まっていない新人侍女が請け負う仕事らしい。


 シリウスが暫く待っていると、掃除用具を持った侍女が数人部屋に入って来た。

 入って来た侍女は、素早く掃除とベッドメイキングを行う。


 作業が終わり 侍女達が部屋から居なくなると、シリウスは王妃が使う豪華なベッドの掛け布団を捲り、枕をのけて王妃の贈り物。毛虫と蜘蛛を、枕のあった場所とベッドの腰辺りの場所に撒いた。


 蒔いた後は 枕と掛け布団をもとの位置に戻してから、試しにぺらっと掛け布団を剥いでみる。


「よし!見えない。臼ぐらいだろうし、朝まで気づかないだろう」


 シリウスはそう言って頷くと、箱の中に半分ほど残していた虫を、部屋に備え付けてある風呂場の床に撒いた。


 明日は面白いことになるだろう…楽しみだ…クックックッ。





 翌朝。


 シリウスは起きて直ぐにベッドから出て、姿を消す魔術を発動させてから王妃の部屋に行ってみる。


 シリウスが王妃の部屋に到着した時には、既に凄い騒ぎになっていた。


 王妃付きの侍女達の隙間から部屋を覗くと、顔と腕が真っ赤にかぶれて気絶した、寝巻き姿の王妃を近衛兵が運び出している所だった。


 回りで話す声を拾ってみると、面白いくらい予想通りの展開になっていたらしい。


 王妃は毛虫と蜘蛛に気づかずに、あのベッドで一晩眠ってしまった。


 そして朝になると、王妃は凄まじい痒みに目を覚まし飛び起きた。


 その時…枕がベッドから落ちた事で、王妃は大量の毛虫や蜘蛛を見つけしまい、悲鳴をあげながらベッドから飛び降りる。

 腰にも潰れた蜘蛛と毛虫がべばりついている事に悲鳴をあげ風呂場に逃げ込んだ。

 その時。最初の悲鳴を聞き付けた侍女が部屋に飛び込んできて、ベッドの虫に気づいた侍女達も悲鳴をあげつつも王妃を捜す。


 侍女が風呂場を捜すと、そこにも大量の蜘蛛と毛虫がいて、王妃が気絶していたそうだ。


 侍女達は、倒れて気絶していた王妃を虫まみれの風呂場から脱衣所まで運び、女だけではそれ以上運べないので、侍女の一人が近衛兵を呼んで来た。


 今は、呼ばれてきた近衛兵が、王妃を抱えて医務室に連れて行く所らしい。


 良い気味だ。


 シリウスがクスクス笑っていると…



「…どうなっているんだ…」


 シリウスが、声がした方を見ると宰相がいた。


 宰相は、妃達と王子達に監視と護衛をかねた影をつけているにもかかわらず、守れなかった事を後悔しているらしい。


 因みに俺は、犯行時刻。私室で寝ていた事になっている。


 隠蔽は得意中の得意だ。


 因みにゲオルグの厳しい訓練は、シリウスをボロボロボコボコにしているが訓練なので黙認されている。




 それから数日後。


 過剰な虫嫌いになり、小さな羽虫にも悲鳴をあげるようになった王妃が、シュナに新たな嫌がらせをし始めた。


 料理長を脅して、シュナと自分の食事を下女と同じに内容にしたのだ。


 デザートと肉が無くなった事に、激怒シリウスは行動を開始した。


 デザートが無いだけでも許せないのに、肉も無くそうとするなんて許せない!


 シリウスは王妃の食事時に厨房に潜り込み、王妃様に作られた食事が出来上がると、それを風魔術で皿ごと盗み取る。


 料理が無い事に気づいた料理長が、首をかしげながら第二段を作ると、それも食器ごと盗み取る。


 流石に可笑しいと思った料理長は、雑用をしていた下女が盗み食いでもしたのだろうと怒鳴り散らしてたのだが、犯人はシリウスだ。


 濡れ衣で下女が怒られるのは申し訳なくて、シリウスは姿を消したまま料理長の耳元出囁いた。


「料理を盗んだのは俺だよ。ああ。確か君は浮気をしてるよね?あの怖い奥さんにバレたら…」


「ギャアアア!!止めてくれ!」


 料理長の叫び声を背後に聞きながら、シリウスは風魔術で料理を浮かせて食堂に向かっていると、シュナ付きの侍女サリアがシュナ達の食事を運んでいた。


「あ!サリアさん。俺達の食事はこっちだよ」


 シリウスが姿消しの魔術を解いて、サリアに料理を見せるとサリアが目を見開いた。


「シリウス様!それは!」


「お願いして作ってもらったんだ。そっちは下女達の賄いにしていいよ」


「…はい。分かりました」


 サリアは怪しみながらも頷き、持って来た料理を掃除帰りらしい下女に渡してから、食堂に料理を並べた。


「うわぁ!今日は豪華ね」


「そうだね!」


 その後も同じ事を繰り返していると、料理長は王妃用の料理を三人分用意するようになり、食費がかかりすぎると財務大臣に怒られ料理長は仕事を首になった。


新しい料理長は王妃の圧力等ものともしない人物で、シリウス達の食事は元に戻った。


 シリウスは、首になった料理長に恨まれるのも面倒なので、レストランを町に出した彼の良い噂を流してやり、彼のレストランは王都一のレストランになったらしい。


まあ良かったんじゃないかな。


因みに…直ぐに料理長の浮気はバレた上に、浮気相手に既婚者だと教えてなかったらしく、妻と浮気相手に袋叩きにされました。

今は厳しい監視の元。生活しているらしいです。



シリウス君が何か悪の方向に向かっている気がします…

まあ良いですよね!お母さんを護るためですもんね!

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