今度は恵まれてる?
新章 第一話です!
かなり短いのですが申し訳ないです!
「うぎゃあうぎゃあ!」
とても懐かしい体が上手く動かない感覚。
俺の新しい人生が始まったんだなと考えながら、空腹を訴えるために俺は泣いていた。
なかなか人が来ないので、俺は暇潰しもかねて風の魔術で周辺を探る。
今世は神様の言う通り、前世よりもかなり魔力が高いらしく、風の音を集める魔術を生まれた地域全体まで広げることが出来た。
自分でも引く位の魔力量だ。
集音魔術で町にいる人間達の声を集めて聞いてみると、どうやらここはマグダリア王国の王都らしい。
そして…俺が生まれたこの地域は貧民街だった。
しっかし遅いな!
空腹が限界を超えて、騒音レベルでギャンギャン泣いていると、まだ十代とおぼしき少女が慌てて室内に飛び込んで来て俺を抱き上げる。
どうやら彼女が、今世の母親のようだ。
「はいはい。お腹すいたのかな?」
母親が笑って俺に母乳を飲ませ、俺がお腹一杯それを飲んでから満足そうにキャッキャと上機嫌で笑うと、満足そうに笑う俺を見て、彼女は幸せそうに俺を見て微笑んだ。
今世の母親は子煩悩みたいだ。
しかっしこの人に抱かれていると、何か安心するな。
俺が母親にくっついていると、母親は幸せそうに俺の頬にスリスリと頬づりしてきた。
何故か嫌ではない…何故だろうか?
「お腹一杯になった?可愛い あたしのシリウス」
どうやら俺の今世の名前はシリウスらしい。
名前からして今回も男に生まれたようだ。
自分の性別が分かった処で、スリスリしてくる母親の姿を観察してみた。
シリウスの母親は、大胆に背中が空いた上に腰まで裂けた様な簡易なドレスを着ている。
…男の欲望を刺激するような…道見てもあの職業の服装だった。
この場所からいって有りそうだが、まさかあの職業の女が子供を生むわけないだろう。と自分に言い聞かせていると、ガタイの良い男が、ノックもなしに部屋のドアをバシャンと開けてシリウスを抱き上げる母親を睨み付け鋭く叫ぶ。
「いつまでもやってる!客だぞ!」
「はあい!今行くわ!またね。シリウス」
母親はシリウスの額に、いとおしそうにチュッとキスすると、押し入っときた男に連れられて部屋を出ていった。
数時間後。
母親が再びこの部屋に訪れた時…あの特有の匂いを漂わせていた。
間違いようがない…今世の母は娼婦だったようだ。
シリウスは、よく誰の子供か分からない自分を産んだなと思いながらも、母親が心配になってきた。
娼婦は娼婦特有の病気にかかりやすい。
それに、この世界で女を買う男は乱暴な男が多いのだ。
シリウスは決意を込めて、自分の小さな掌を握りしめる。
貰った愛情の分だけは返せるまで、母親に生きて貰えるように…母を自分が護らなければ!
オウル改め、シリウスは仕事を終えた母にあやされながら静に決意を固めた。
始まりました。
また男の子です!今回から彼にちょっとした変化が出てくるかもしれません。




