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目指せ孤独死!御一人様!!  作者: 柳銀竜
捨て子のオウル
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ボッタクリ

前回の更新は、私用で休んで申し訳ありませんでした!


そして今回。やっと主人公は、今世て初めて自分以外の人間と交流します!


後。貨幣が出てくるのでここで捕捉しておきます。


一ブロン=十円

一アイン=百円

一シルグ=千円

一ゴルグ =一万円

日本円に変換するとこうなります。

金銭感覚は日本と変わらない設定です。

 

「…ああ…嫌な夢見たよ…よっこらせっと」


 俺は怠そうな仕草でベッドから上半身をおこすと、グッと背伸びをしてからベッドから出る。


 俺はベッドから出て。台所に行って昨日の残りモノを食べて手早く朝食をすますと、バサッと動物の毛皮で作った服を着て、壁に掛けて置いていた獣の牙を加工して作ったナイフを懐に忍ばせる。


 簡単な身支度を終えてから、俺は家の外に出る。


そして、ヒュッと風魔法で空に飛び上がった。


 海に行く途中。ふと下を見ると村を見つけた。


 二十軒くらいしか無いような、かなり小さい村だ。


 自分が、幼少期をすごした洞窟からの距離から言って 多分…俺が産まれた村だと思う。


 俺はチラリと小さな村を一瞥するだけで、そのまま遥か上空を飛び去った…


 海で塩を作らなくてもこの村で手に入るかもしれないが、自分の親とか出てきたら色々面倒なので、ここで塩を買うのは止めて予定どうり海に向かう。


 普通はたとえ捨てられたとしても、血の繋がる親に会いたいと思うのだろうが、俺は両親に捨てられた時点で、あの二人とは親でも子でもないと思っている。


 なので…


 多分俺は、余程の事態がない限りこの村には近づかないだろう。


 面倒な事にしか、なりそうもないからな。




 森の上空を飛ぶこと数時間。


 段々と緑が少なくなっていき、青い海が見えてきた。


 俺は暫く上空を偵察して、人のいない砂浜を見つけるとスタッと砂浜に降り立つ。


 そして俺は、ここにもいつ人が来るか分からないので、素早く塩作りに取りかかった。


 まず始めに、ロープで体に縛り付けていた土製の鍋を外し、そこら辺に転がっていた石で簡単な竈を作る。


 そして鍋一杯に海水を汲み、それを火にかけた。


 沸騰して水蒸気が出てきたら、風魔法で水蒸気を飛ばす。すると鍋の底に塩が溜まる。


 その塩を掌サイズの皮袋に詰めると、また海水を汲みに行き同じ行程を繰り返した。


 暫くそれを繰り返し、皮袋がパンパンに膨らんだところで、俺は満足げに頷く。


「これくらいあれば一月は持つな…よし。」


 俺は塩を懐に仕舞うと、火傷をしないように鍋を海水で冷してから再びロープで体に縛り付ける。


 そして、焚き火の跡を綺麗に消し去ってからまた空に飛び上がった。


 家とは違う方向に。


 実は俺は、海を見つけた時に同時に港町を見つけていたのだ。


 だから次の目的地は、その港町。


 だが問題が一つある。買い物をしたいのだが金は持って無いのだ。


 だから、代わりに売れそうな動物の毛皮などを持って来たのだが、いくらで毛皮が売れるか分から無い。


しかし、綺麗な毛皮なので売れない事はないだろう。


多分大丈夫だと思う。


 香辛料とかもあるかもしれないなと、俺は期待に胸を高鳴らせながら港町に向かって飛び去った。




「よし。着いた」


 門に着くと俺は、人気のない林にこっそり下りて鍋を草むらで砕き、そこら辺に蒔く。


 鍋は家にまだ二つあるし、土製の鍋重いので、元々砕く予定だったから問題ない。


 重い荷物が無くなり、身軽になった俺は、町の門の前に来て初めて大事な事に気付く。


 …身分証を持って無いのだ。


 身分証が無ければ入れないのは、門を行き来する人間を見れば分かる。

身分証が無い者は、拘束されるようで俺が見ている間にも三人組が連れていかれていた。

どうしようかと周りを見ると、すぐ横に大きな荷車が止まる。


俺は荷車を見てニヤリと笑った。


 このサイズなら、八歳の子供一人くらい荷物に紛れてもバレないかもしれない。


 俺は魔術で姿を消して、こっそり荷車に忍び込む。

そして、門の番に見つかる事無く無事に港町に入る事が出来た。


 まあ…犯罪だが仕方ない。


 無事に町に入った俺は、こっそり荷車から降りると、様々な屋台が並ぶ市場の様な場所をゆっくり歩く。


 そして、目的の店を見つけた。


 様々な獣の骨や、皮を使った装飾品を売る店を見つけた。何故探したのかと言えば勿論毛皮を売り金を得るためだ。


 店の前で立ち止まった俺は、ごそごそと干した草で作った鞄をあさる。そして、灰銀色の毛皮を店の店主に見せた。


「おっちゃん。これ買わない?」


「ん?どれ…一ブロンだな」


 一ブロン…さっき見たパンは一つ一アインだと店員が言っていた気がする…神さまが押し付け…付けてくれた精霊に聞いてみたところ、一ブロンが十枚で一アインらしい。


 結構珍しい個体の毛皮だったから、パン一つより安いわけが無い。


「そう。じゃあね」


 俺はそう言うと、毛皮を鞄にしまい、明らかにぼったくる気満々男の店から離れようとする。

 すると店主の男は、慌てた様子で俺を引き止めた。


 断るとは、考えていなかったらしい。


「おっおい!売るんじゃねぇのか!」


「え?他の店にも聞いて回るに決まってるじゃん。他の店の買い取り金額が低かったらまたくるよ」


 他の店の買い取り金額が、この店より安いわけ無いだろうが、一応。ぼったくりに気づかない振りをした。


 逆上されたら面倒だからだ。


「おい!まっまてまて!ニブロンならどうだ!まてって!!」


 後ろの方でまだ何か言っているが俺は、無視して他の店を探した。


 二ブロンとか…ふざけんじゃねぇよ!!




 市場の店は駄目だと理解した俺は、屋台ではなく店舗の並ぶ場所を目指してブラブラ歩く。


 そして、目当ての店を見つけた俺は店に入ると、傭兵の様に荒々しい面構えをした四十代位の男性に毛皮を見せた。


「査定をお願いします」


 ん?と反応して毛皮を手に取った見た男性は、ギョッと目を見開いた。


「これは!銀猪の毛皮じゃねぇか!こいつ珍しい上に鼻が良すぎて、プロの狩人でも仕留めるの難しいんだぞ!」


 そんなに凄い個体とは思っていなかった俺は、ほくそ笑みながら男性に聞く。


「で?いくら?」


「二ゴルグだ!加工が下手くそじゃなけりゃ四ゴルグは出せたんだがな」


 見よう見まねで皮を茹でて乾かしたが、それでは駄目だったらしい。


「加工はいくらでしてくれる?」


「一シルグだな」


 意外と高いが、上手く加工したら高く買い取りしてくれる様だから、加工も頼んだ方が結果的に手元に残る金は高いかもしれない。


 俺は、よしっと頷いて毛皮を会計台に置き笑顔で男性に言った。



「じゃあ今度狩ってくるからこれの加工を頼めるかな?」


 俺が笑顔でそう言うと、店主の親父さんは目玉が飛び出そうな位目を見開いて身を乗り出した。


「ああ!お前が狩ったのか!すげぇなチビ!!俺はホビアル。チビ名前は?」


 名前…名前?ああそう言えば今世の俺は名付けすらしてもらって無かったな…


 彼はうーんと腕を組んで、考え込んだ。


 今まで必要性が無かったので、考えてもいなかったらしい。


「名前…んーん名前か…」


「どうした?名乗れない理由でもあんのか?」


 考え込む俺を見て、訳ありかと考えた店主が遠慮がちに俺を見る。


 好い人っぽい店主に、名前が無いから名乗れない等とは言えない。


 親身になって、俺の世話してくれそうだからだから色々と面倒そうだ。


 しかし名前は何がいいだろうか…どうせなら格好いい名前が良い。


 風の魔術士だから空…鳥がいいか。


 やっぱり猛禽類の方が格好いい…


 鷲、鷹、コンドル、カラス…梟はどうだろうか…夜の支配者見たいで格好いいから梟…


 英語で確かオウルだったか…格好いいな。


 うん!オウルに決定だ!


「よし!俺はオウルだ!よろしくね!」


「おお。よろしくな!オウル」


 俺は店主に別れを告げると、町の目立たない場所で魔術を発動させ、空に飛び上がる。

 そして急いで家に戻ると、作った塩を台所に置いてから着ていたよそ行きの毛皮を、壁につけいる突起にかけると、狩に行くためにいつも着ている毛皮を着て家を出た。


 オウルは森に入ると、魔術で体を覆い自分の臭いと気配を消して森に同化した。


 その状態で暫く森を歩いていると、輝く銀色の毛並みをしている猪発見した。


 銀猪だ!


 オウルは忍ぶことなく銀猪にスタスタと普通に近づき、一気に頸動脈をグサリ。


 銀猪は、何が起きたか分からないままに息絶えた。


 本当に簡単だ。魔術はすばらしい。


「ヨシッと行きますか」


 オウルは、銀猪を風の魔術で浮かべると港町に戻り、こっそり門の壁に付けていた転移陣から町に入る。


 オウルがそうやって、こっそり港町に入り市場の辺りを歩いていると、いきなり柄の悪い男達に囲まれた。


「おい!坊主!その銀猪譲ってくれよ!」


「嫌だよ。何であげなきゃいけないのさ」


 オウルがそう言って男達に反論していると、男達の後ろから初めに銀猪の毛皮を査定した男が、ニヤニヤしながら近づいてくる。


「言うこと聞いた方が身のためだぜ?ガキ」


 主犯はこいつらしい…ゲスが!


「ハアー あんたに売らなくて正解だったよ」


「何だとガキ!あっあれ!どこ行った!」


 大人と子供では、やる前から結果は見えている。


 オウルは素早く魔術を展開し気配を消して、素早く逃走した。


 男達を巻いたオウルは、急いで銀猪の毛皮を売った店に行く。


 店につき、銀猪を店主に渡すと店主は驚きながらオウルに叫んだ。


「おお!もう狩ってきたのか!」


「うん。後。ホビアルさん追われてるから暫くこれないと思うけど元気でね。銀猪の代金は次に来たときに貰うからじゃあね!」


 オウルはそれだけ言うと、毛皮を会計台に置き気配ごと、スッと店から消えた。


「おい!!追われてるってあれ?どこ行った!」


 店主は、いきなり消えたオウルを探して叫ぶが、既にオウルの気配すら消え去っていた。


「しくじった。暫く港町に近づけないじゃないか…まあ…塩はあるし構わないか…」


 オウルはそう呟いてため息を吐くと、空高く飛び上がって薄暗い空に消えていった。




名前はオウルです!

章でバレバレですよね。すいません。

私が猛禽類が大好きなので、梟にしました。オウルって響もすきだし、梟って知恵の神様だとか幸福を呼ぶとか縁起が良さそうなのと…魔法使いといえば、鼠に猫に蛙に梟ですよね!

白い梟が良いです!!白い梟が!


次の更新は一週間後です!次回も宜しくお願いします!!

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