家
2話目で早くも八歳です!
後。しばらく彼は名無しです。
彼の回りに他の人間が居ないので、自分の名無しに対して不便さを感じていないからです。
そのうち彼自身が、自分自身に名前をつけてくれるはずですので、気づいている方もいるでしょうが温かく見守って下さい。
「ここが良いな」
捨てられてから八年。
八歳になった俺は、今。文化的な生活を確保するべくく森の奥に来ていた。
文化的な生活…衣食は充実しているので、後は住…つまり家だ!!
今までは、原始人の様に洞窟で生活していたのだが…色々と不満があるのだ。
洞窟は確かに安全ではあるのだが、ジトッとしている上にウジャウジャと虫がいて、俺はもう限界だった。
黒い悪魔やムカデ君が出た日には、悲鳴をあげて外に飛び出た事もある。
洞窟の外が危険なのは理解しているが、黒い悪魔と寝れるわけがない!!
そのせいで八年間…眠れない日も多かった…
そして俺は、自分が誰かに発見されて保護などされたら色々面倒なので、魔術を使って洞窟から人間が生活していた痕跡を全て消し去ってから、自分の体を風魔法で覆い自分の臭いと姿を隠す。
こうすれば、人間に見つかる危険性も獣に襲われる心配も無い。
その状態のまま俺は、森の奥のそのまた奥に進んだ。
森を何時間も歩き、森の深い場所まで来ると、目の前に十メートルは有りそうな大木が現れた。
この大きさなら…木ノ上に家を一軒くらい建てても、びくともしないだろう。
そして、冒頭の発言と言うわけだ。
「よし。まずは…っしょ!」
俺はまず、勢い良く風魔法で大空に飛び上がる。
そして地上から六メートル位の場所で、太い幹がある場所の回りの小枝を切りひらいて、12畳位のスペースを確保した。
次に切断系の風魔法で、大木があるこの場所が目立たないように、かなり離れた場所にある木を一本切った。
そして木を切った俺は、その木が地面に倒れる前に魔術で木を板状に切り裂く。
それをフワリと風魔法で浮かせてから、自分のいる大木の下に集めた。
材料を揃え終ると俺は、先程切り開いた場所に降り立ち、床となる場所の枝を更に切り替える。
そして、床が真っ直ぐになるようにその上に板を乗せていった。
次に、板を横に並べたらその上に縦に板を乗せていく。
二重に重ねたから、これで強度は十分なハズだ。
そして、また風魔法で空に舞い上がると、遠くにある小さめの木を、丸太状に切り魔法でパシュっと薄皮を剥いでいく。
それを壁の四隅に八本深く差し込み、その隙間に丸太を入れ込んでいく…見た目はログハウス…いや、木の上なのだからツリーハウスだろうか。
丸太を風魔法で操って、隙間に全てはめ終わると、家の中から風魔法。カマイタチで丸太を切り裂き、窓と扉を作る。
窓には虫の侵入を防ぐために、木で作った囲いに動物の皮張り付けた。
それから、動物の骨で作った針をつかい、幼虫の繭で作った糸を網目状縫い付けたモノを窓に嵌め込み、板の扉を木材で自作した蝶番擬きで固定すると、窓にも同じように扉をつけて蝶番を取り付ける。
ネジ等は無いので、動物の骨で自作した釘で固定した。
さて次は天井だ。
天井も、壁と同じく丸太を敷き詰める。
敷き詰め終ると、粘土質の土に水をいれながら捏ねてそれを外から隙間に詰めた。詰めた粘土を風魔術で乾燥してから、その上にまた丸太敷き詰め、その上にまた粘土を詰めると予め集めていた花の種子をそこに撒く。
何故花の種を蒔くのかと言うと、花が根を張ればどんな豪雨も凌げるかもしれないし、万が一人が来た時にカモフラージュにもなるかもしれないからだ。
そして俺は、壁にも同じ行程をすると、家の中に入り中からも隙間を塞いでいく。
最後に風魔法で、本当に隙間が無いか確認すると完了だ。
「完璧だ!」
俺はヨシッと頷くと、水回りも作っていく。
家の裏に風呂場を作り、家外にトイレを作り、台所は家の中に作る。
それから、今まで狭い洞窟暮らしだった為に使えなかったベッドを作る。
動物の毛皮と植物の棉で作ったマットを木枠に敷き詰め、兎の毛皮の毛の部分をあつめて作った毛布を被せた後、棉を詰めた枕を置いて完成だ。
フカフカそうで、思わずダイブしそうになったがグッと堪える。まだまだ家作りは終わっていないのだから、休むわけにはいかない。
それから机も作る。これでもう、床で食事をしないですみそうだ。
仕上げに、偶然見つけた表面がザラザラな植物を柔らかくなるまで煮込んで、板に張り付け乾燥させていたモノでベッドと机。床に壁にもヤスリがけをしていく。
全てを磨き終えたら、薄で作った箒で部屋中をはわき、雑巾がけをしてから風魔法で水気を飛ばしてから、改めて家具を配置した。
それから、玄関の部分に毛皮を敷き、そこに木で作った靴を脱いで置いてから汚ない靴で踏んでいた場所を全て拭くと、汚い靴を洗ってから雑巾を洗って外に干す。
そして風呂場で自分の体を洗い着替えてから、汚れた服を洗って干すと、ベッドに座り裸足の足をバタバタさせた。
やはり、日本人は素足が一番だ!解放感が半端ない!
ベッドにた折れ込み、フカフカ感を堪能していると窓の外では既に夕日が沈みかけていた。
「終わった…魔法を使っても丸一日かかっちゃったよ…夕飯どうしょうか…」
獣が活性化する夜に、狩りをするのはかなり危険だ。
「仕方ない…あれを食べるか」
俺は木の箱に入れていた、二日前狩って食べた獣肉を食べた後の、ちょっとだけ肉がついた骨を取りだし台所に行く。
身は殆んど無いので水で煮て柔らかくして、骨から肉を剥がす必要があるから今日はスープだ。
炎系統の魔術は使えないので、サバイバル番組でよくあるアレ。
棒に紐をくくりつけた棒ようなモノを作りその下に綿をおき、棒を上下に動かす方法で火おこしを始めた。
綿を風魔法で完全に乾燥させているからか、わりと直ぐに火種が出来る。
それを竈に入れて、空気を遮断しないていどに入れた薪に放り込むと直ぐに大きな火になった。
台所の竈と床は石と粘土で出来ているので、床が燃える心配は無い。
骨をグツグツ煮込んで出来たスープは、肉の旨味が染みだして旨いのだが…
「うん。塩欲しいな…」
味気ない。
骨ごと煮込んでいるから肉の旨味は感じるが、現代人の味覚で言えばひとつまみ位の塩は欲しい。
塩と言えば海だ…魚は嫌いだから食べないし、磯の香りが嫌いだから余り近づきたくないが…物凄く塩が欲しい。
「明日。海を探すか」
俺は明日の予定を決めると、木で作った食器を後片付けてから、出来立てホヤホヤのベッド潜り込む。
そして気持ちよく布団にくるまると、思ったより疲れていたらしく直ぐに眠ってしまった。
そして俺は…夢の中で巨大魚に丸飲みされて腹の中で中くらいの魚に噛みつかれて…魚なんか…
「魚なんか大嫌いだぁぁぁぁぁ!!」
早朝。そう叫んで目が覚めた…目覚め最悪だ。
…予定は変えないが、魚はやはり嫌いだ。
ちょっと補足すると、黒い悪魔はG。ゴキブリの事です。
昔読んだ漫画で黒い悪魔とか、Gとか呼んでいたのでそう書きました。
夏はGもムカデ君も出てくるので、私は夏が嫌いです!田舎者ですが、バッタ以外は見てるだけで背筋がゾッとしてしまいます。ムカデとゴキブリは、見つけたら深夜だろうが何だろうが始末するまで寝られません!!




