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目指せ孤独死!御一人様!!  作者: 柳銀竜
王女ミリアンナ
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歳の差 結婚

今回は、ゼルギュウム王が出てきます!

 

「結婚?」


 シャレグの申し出を聞いたミリアンナが、困惑したような顔でシャレグにそう言うと、シャレグは深く頷いた。


「私八歳だよ!」


「私十八歳だな」


 平然と答えたシャレグに、ミリアンナはなんとも言えない顔になり、じっとシャレグを見る。


「…アリなの?それ。あとこれが一番問題なんだけど、私を女として見れるの?私。自分で言って何だけどベチャパイだよ?母上もベチャパイだから希望無いよ?王妃様みたいな巨乳には絶対ならないよ?」


 八歳と十八歳…これは完全にロリコンだろう。


 そして、ミリアンナがロリコンより問題視しているペッタンコな胸を見せつけるように指差す。

 するとシャレグは、呆れた顔でミリアンナを見ながらため息まじりに口を開いた。


「気にするとはこそこか?言っておくが、私があのメス豚と結婚したのは、パォティス王に娘が私に惚れたから結婚してくれと懇願された上に、病に伏した父が死ぬ前に孫をみたいと私に泣きついたから、仕方なく婚姻したんだ。

相手もいなくて断れなかったしな…夜の方も初夜の一度きりだ。

 私は、あの脂肪に大して興味はない。

 父には孫の顔を見せてやれてそれだけは良かったが…あのメス豚が毎日毎日煩くて煩くて…」


「子供いたんだ…ああ。そう言えば三歳の王子様がいたね。しっかし王妃様の嫌いっぷり凄いね…しかもメス豚って…」


 ミリアンナがちょっとだけ王妃様を憐れみながら、それは言い過ぎなんじゃないかな?とシャレグを見る。


 するとシャレグは、会話をしながらエリザの顔を思い出した様で、穏やかな笑顔から親の仇を見るような形相に代わり、嫌そうに吐き捨てた。


「あんな女メス豚で十分だ。私は毎日毎日あの女のせいで、私は気の休まる時が無い。

 側室をと思ったが…余計に疲れた。しかし、子供とはいえお前と居ると何故か心から笑える。母以外の女性と居て、楽しいと思ったのは初めてだ。

 それに…あの女をあれほど簡単に撃退した者も初めて見た。お前の望みはできるだけ叶えるから、考えてくれないか?」


 王妃様は、毎日毎日あの調子らしい。


 確かに、あんなキーキー声で怒鳴られれば疲れはてるのも無理はないと思う。


 それにシャレグの顔色から察すると…側室候補の女達も、エリザと同じタイプの女ばかりだったようだ。


 自分の母親と私以外に、共に居て楽しいと思える女性が居なかったなんて…


 これは、女運が悪いとしか言いようがない。


 それに、私があの王妃を撃退したのも彼の中では好評かだったようだった。


 しかもシャレグは、私の願い事を何でも叶えてくれると言う。


 なら答は一つだ。


 ミリアンナはシャレグに、ニカッと笑いながら口を開いた。


「願いを叶えてくれるなら結婚しても良いよ。あ!父様の説得はお願いね」


「!!良いのか!そんな簡単に…」


 余りにも簡単に了承を受けたシャレグが、驚きに目を見張っていると、ミリアンナは気軽な感じで答えた。


「え?だって側室でしょ?なら良いよ。私は日陰が好きだからね。

あ!お願いはこの国の貧民街を良くする方法を一緒に検討して、成功したらゼルギュウムに情報を渡す事。

私の産む子供に、次代の王位継承権をあげない事。

娘が生まれたら、意に沿わない婚姻はさせないこと。毎日果物を食べさしてくれることでいいよ」


「…側室の方が良いのか…分かった。その条件を飲もう」


 シャレグは、ミリアンナの言う条件に驚きつつも頷いた。


 ミリアンナが、正妃になりたいと願うとばかり思っていたシャレグは、エリザを側室に降格し、ミリアンナを正妃にしようと考えていたのだ。


 パォティスはゼルギュウムと比べれば、少しだけだが小さい国であるし、ゼルギュウムはパォティスと違い隣国で、しかも…全ての国で畏怖されている、ウイング一族の主家がある国でもある。


 王子がいるので離縁ができないが、ゼルギュウムの第一王女を正妃にするなら、エリザを側室に降格する事に問題は無い。


 パォティスやマグダリアの王族貴族も、文句等は言わないだろうと考えていた。


 しかし、ミリアンナは正妃になりたくは無いと言う。


 正妃になって貰いたかったが、仕方がない。


 シャレグが、ミリアンナの願い事を渋々了承するのを確認すると、ミリアンナはシャレグに向かって楽しそうに笑いかけながら頷いた。


「よし。じゃあ七年したら嫁にくるよ」


「…七年か…」


 王公貴族は、婚約式をしてから一年位で結婚する。


 しかしミリアンナは、まだ八歳。


成人していないので、七年後。彼女が成人年齢である十五歳になるまで、結婚する事ができない。


 長い…


 王権を使い、成人前にどうにか結婚出来ないかとシャレグが考えていると、ミリアンナがジトッとした目でシャレグを見た。


「当たり前でしょ?成人は十五歳だし。何?不満がある。」


 ジトッと睨まれたシャレグは、うぐっと言葉につまると項垂れる。


 そして、力なく頷いた。


「…分かった…ミリアンナ…ミリーと呼んで良いか?」


 シャレグが、ミリアンナにそう言って照れ臭そうに笑うと、ミリアンナは悪戯っぽくニヤリと笑い口を開いた。


「いいよ。旦那様。後父様と母様と妹の説得頑張ってね」


「王と王妃は分かるが、妹もか?」


 シャレグが不思議そうにそう言うと、ミリアンナはコクリと頷く。


「うん。大変だろうけど頑張ってね」







 そして…ミリアンナが、人買いに拐われてから一ヶ月後。



 シャレグが城の廊下を歩いていると、前方に細身の男性が立っていた。



 誰だろうか?



 細身の男性がシャレグに振り返り、顔が見えるとシャレグは思わず男性に叫ぶ。


 ここにいるはずの無い人間が、目の前にいる!


 その事に、シャレグは心臓が飛び上がるほど驚いた。


「!!ゼルギュウム王!何故 此処に!!」


「貴殿が一向にミリアンナを連れてこないから、転移陣でマグダリア城に転移したんだ!」


 細身の男性…ゼルギュウム王が、怒鳴りながらズカズカと此方に向かって歩いてくる。


 よく見ると、彼が居たのは転移陣が施された部屋の扉の前だった。


 何故ゼルギュウムの王が、マグダリア王族専用の転移陣をえる!



「!どうやって…」



「いや…当主に命令されちゃいまして…ほら。家の一族本家に絶対服従だから」


 ゼルギュウム王には、使える資格がないハズなのに 何故使えるのだとシャレグが混乱していると、ゼルギュウム王の背後からのっそりと、鳥獣騎士団団長アギラが顔をだしてきた。


そしてアギラは、シャレグの方にテクテクと歩いて来る。


 それを見て、シャレグは成る程と納得し 対策を諦めた。


 ウイング一族には、どんな対策も無駄になりそうだからだ。


 ウイング家は、そのくらいぶっ飛んだ一族であった。


「アギラぁぁ!!貴様我が国の騎士だろう!」


 しかし、シャレグの背後に控えていた竜騎士団団長は空気も読まずにアギラに怒鳴る。


 しかし、アギラは団長にヘラヘラ笑いかけながら頭をかいた。


「騎士だけど、ウイング一族でもあるんだよ?ウイング一族の為なら、死罪でも受け入れるけど、陛下はどうします?」


 そう言いながらアギラは、シャレグに視線を向ける。


 冗談半分に聞こえるような言い方だが、彼の決意は本物だった。


 ウイング一族は、主家以外に心から使える事はない。


 シャレグは、ウイング一族の重要性をよく理解していた父に命じられ、幼い頃からウイング一族と親睦を深めてきた。


 彼等は本当にウイング一族を守るためならば王族であろうが、神であろうが切り捨てる。


 だが…妻子や夫子供を殺せと命じられたとすれば、自らかの命を断つだろう。


 主の名は絶対だが、家族を手にかけることは出来ない。


 だから…自分の命を差し出すのだ。


 シャレグの知るウイング一族は、一人の例外もなくそんな者達だった。


「…当主の命令なら仕方ない…ウイング一族を敵に回すと国が潰れる」


「陛下?!」


「知らないの?国の上層部の半分くらいはウイング一族の分家だよ?」


 全ての国で、そんな状態なのだ。


 ウイング一族は子沢山。


 好奇心が多い者も多く、多くの者たちが他国に渡る。


 ウイング家の初代当主の夫達は文武共に優れた男達で、その血を引いた子供達も優秀だった。


 そして他国に散らばった子供達は、あっという間に色んな国々の重鎮になってしまったのだ。


 そして…剣術を磨く事しかせず、高位貴族の血筋のせいで気位が高いせいか、あまり団員と会話をしたことがない上に、政治に疎い竜騎士団団長の彼は、その事実を知らなかったらしい。


 彼は今。アホ顔で口をあんぐりとあけている。


「半数?!」


「後。ミリアンナ王女はウイング一族 元当主の姪だから、ウイング一族の姫なんだよね…直ぐに祖国に帰してあげないなんてあり得ないよ」


 アギラが、へっと軽蔑するようにシャレグを見る。


 彼も、シャレグがミリアンナを、中々祖国に帰そうとしない事に腹をたてていたらしい。


 多分。ミリアンナに仕事をさせているのも原因だろう。


 彼等にしてみれば「姫をこき使うなんて!!」といった感じだろうか。


 そして、団長達の会話を一切無視したゼルギュウム王が、兵士の静止を振り切りマグダリア王の執務室に無理矢理押し入る。


ゼルギュウム王は、バンと勢いよく扉を開けると愛娘の名を叫んだ。


「ミリアンナ!!」


「ん?父様?あっ!シャレグ!報告書きてるよ!かなりの成果が出たみたい!」


 ゼルギュウム王が部屋の中に押し入ると、ミリアンナは中にいた。


 彼女は、シャレグの執務机の前にある椅子にだらしなく座っていたのだ。


 まるで、自室であるかのように寛いでいたミリアンナは、一月ぶりに会う父に軽く挨拶すだけで放置し、父の後ろにいるシャレグに、持っていた書類をヒラヒラさせながら話しかけている。


「シャレグ?!呼び捨てか?!何でそんなに仲良くなってるんだ!」


 ゼルギュウム王が絶叫すると、ミリアンナはヒラヒラさせていた書類を机におき、呆れた様子でシャレグをジトッとした目で見た。


「え?シャレグまだ説得してないの?」


「…すまん」


「説得?」


 ゼルギュウム王は嫌な予感をビシビシ感じながら、シャレグとミリアンナを交互に見る。


 すると、シャレグはゼルギュウム王の前で頭を軽くさげると、覚悟を決めて口を開いた。


「ミリアンナ王女と婚約したいのだが…」


「駄目に決まってるだろうぉぉぉぉぉぉぉ」


 ゼルギュウム王の絶叫に城中の人間が驚き、城中が蜂の巣をつついたような騒ぎになったのは言うまでもない。




歳の差 結婚でした!


この章も後。二話くらいで終わりますが、話自体は続きます。


次の人生は、ミリちゃんが男の子になる予定です!


頑張って書きますので、これからも宜しくお願いします!


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