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聖焔の軌跡 〜Miracle Lucas〜  作者: ムササ
第四章 Distance of the mind
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#76 シリウスの存在意義

分かりづらいでしょうか?もしそうだったら言って下さい。


【ポールスターからのハッキング、シリウス本部です!】


グラツが前の演説で次にまた話そうと言ってからきっかり5日後、シリウス本部からのハッキングがまたも起こった。

今度は誰も慌てたりしない、そしてグラツの顔がメインモニターに映し出された。


【ご機嫌いかがかな、シリウスの諸君、有意義な五日間を過ごすことが出来たかね?】


グラツの演説が始まった。


【でさ早速だが前の演説からの変更点を皆に伝えようと思う】


その言葉にシリウスの職員のみならず、周りを取り囲んでいたシリウス以外の住民が期待を込めたを示す。

だが、アキトとリラだけは期待などしていなかった、彼らはこれまでの経験と間近にグラツとアルドを見たことにより、ナイトローズが希望など残す気が無いことを悟っていたのだ。


【もし、一つの都市が反抗しなければシリウスの諸君は二人までここに連れてこい、そいつは助けてやろう、つまりシリウスの諸君が全員反抗しなければ助かる人類が三倍に増えるという事だ】


その言葉に今度こそ全国の人類は慌てた、シリウスは恐らく自分の親族を選ぶだろう、という事は他の住民は見捨てられる。


今まで反抗した全国のシリウスの目的は自分の家族を守るためなどだった為、この言葉はかなり効いた。

アキト達の様に全人類を護るためなどという事を思っている者は殆どと言っていいほどいなかった。


『そうやって俺たちの信念を揺らがせるのが目的か……』


【変更点は以上だ、来たる五日後、私の演説が始まったらシリウス本部に繋がる緊急応援要請をしたまえ、従うのならばそれを鳴らすな、抗うということならば宣戦布告代わりにそれを鳴らせ、以上だ。諸君の懸命な判断を願っているよ?】


アルビレオのエントランスは沈黙に包まれた、シリウスの職員も、住民も呆然とその場に立ち尽くしている。


(俺たちが何もしなければ助かる人が増える?)


アキトもそんな事を考えながら立ち尽くしていた。


恐らく今回のグラツの演説で従うという町は増える、何せシリウスには無駄にグラツに歯向かって死ぬ意味が無くなったのだ。

自分の家族や自分だけが生き残れればいい、その為ならば赤の他人がどうなったって構わないじゃないか、そんな事を思っている者は沢山いるだろう。


(ダメだダメだ!これじゃあグラツの思う壺じゃないか、いくら助かる人数が増えると言っても全員じゃない)


『…ろ』


そんな声がアルビレオ支部の外から聞こえてきた気がしてアキトが振り向くと、


『助けろ!俺を助けてくれ!!』


若い男が必死にドアを叩きながら訴えている。

それを皮切りに、外でアルビレオ支部を取り囲んでいた住民が一斉に喚き始めた。


(まずい!このままじゃまた暴動が起きる!!)


『アキト!なんとかしなきゃ!!』


リラが叫ぶ、見ると他のシリウスも正気に戻っていくようだった。

アルビレオ支部総出で住民を宥める、今回は支部長が話した位では収まらないだろう、僅かながらも今回の演説で住民にも生き残れる可能性が増えた、だが人数には限りがある。

誰もが生き残ろうと必死であった。


『これじゃあグラツの思う壺だ!皆落ち着いて!!』


アキト一人声を張り上げても収まらない。

結局騒動は一時間程続き、最後は強引に宥める事しか出来なかった。


『これがグラツの狙いか、シリウスの信頼を落とすつもりだな』


リックスが見解を述べる。

シリウスが信頼されなければシリウスは住民の信頼を取り戻す為にグラツに刃向かうしかない、だがそれをした場合、そのシリウスが負ければ大義名分を持って住民を殺すことが出来る。

グラツはそもそも誰も生かす事など考えていなかったのだ。


『全支部に俺たちで演説をしましょう』


またも会議が開かれ、開口一番にアキトがそう言った。


『全支部で連合を作り、シリウス総出でグラツの計画を止めましょう』


さっきのグラツの演説で重い空気になっていた会議室はアキトの提案に乗り気では無かった。


『しかし、それに他の支部が応じてくれるか?』

『ならば俺たちだけでやればいい』

『それでは犬死だ』

『何もやらないよりはいいでしょう!』

『だがなあ!!』

『さっきから何を迷っているんだシリウスアルビレオ支部第四部隊隊長ゴル・レーグ!!お前の使命は住民を護ることだろうが!!!』


アキトの本気の怒声が会議室に響く、アキトのシリウスに対する誇りとアキト自身のプライドを乗せた言葉が刺さった者は他にもいるようだった。


『決してシリウスは自分を護るために魔獣と戦っているわけじゃ無い!自分の愛する者や、力の無い者に変わって護る為に俺たちはいるんだ!!』


その言葉はあるいは自分自身に向けたものだったのかもしれない、だがアキトはそれを踏みにじるグラツの事はどうしても許す事は出来無かった。


『決して自分の為じゃ無い…か……そうだな俺は大切な事を見失ってたのかも知れねえな……ああ、俺は戦うよ、俺の大切な物を取り戻す為に』

『ありがとうございます、レーグさん』


アキトがぐるりと会議室を見渡すとさっきまでの重い空気は何処かへと行ってしまったようだった。


『さあ、演説の準備を始めようか、あと五日だ、時間が無いぞ、さあ取りかかれ!』

『『ハイ!』』

『アキト君、リラ君、演説者は君たちに頼むよ、頼まれてくれるね?』

『『はい!!』』

『さあ、わたし達は絶対に屈しないぞ!』


アルビレオは一丸となって演説の準備を始めた。


ノアの箱船計画開始まであと、五日。

さあゴルさんの出番はこの後来るのか⁉︎(多分来ない!)


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