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聖焔の軌跡 〜Miracle Lucas〜  作者: ムササ
第三章 An encounter and parting
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#50 アンセム・エレサール

祝五十話!!だけど……しんみりしてしまいますね


『くそっ……強すぎるぜ……反則だろ』


数分も経たぬうちにミサト達はアルドに地に伏せられた。


『くっ、アキト隊長……』

『大丈夫か!』

『ふむ、無駄な抵抗はやめたまえ普通の人間が悪魔に勝てる訳がなかろう』

『グラツ、何でこんな事をしたんだ!』

『それはね、復讐だよ』


グラツの息子、'アルド・ティーエンス'と娘'キリコ・ティーエンス'は生まれつき病弱であった。

だが、グラツが本部の科学者であった為に様々な治療法が試す事が出来た。

暫くして、病状が少し良くなったためグラツの生まれ故郷に家族四人で帰った時だった。

その町が魔獣に襲われグラツの妻と二人の子供が魔獣に食われたのだ。

シリウスが到着したのは町の住民があらかた食い尽くされた後であった。

遅れた理由は情報伝達が遅かったから。

グラツはその町の数少ない生き残りだった。


それからグラツは復讐の憎悪にかられることとなる。

復讐の相手は二つ、一つは魔獣、二つ目はシリウス、その為にグラツは本部の科学者を纏める立場までのし上がったのだ。

そしてグラツは子供の作成に取り掛かる。

憎き魔獣の魔力と自分の体の一部を掛け合わせ、グラジオラスのメンバーを使って行った実験結果を元に、魔獣と人間のハーフとも言うべき者を創り上げた。

それがアルド・ティーエンスとキリコ・ティーエンス、魔獣と人間のハーフである。


『……と言うわけだよ』


アキト達は一人も声をあげなかった。

グラツの置かれた状況は同情に値する、だが今グラツのやっている事は自分の様な人を沢山作ることに繋がる。


『そう言えば、そこのジント君とミサト君が私の計画を探っていたようだね、いくらリックスがいるとはいえ良く計画に気づいたものだ』

『支部長を知ってるのか』

『知ってるも何も親友だった男だ、決定的に道が食い違い決裂したがね、それは君のご両親も同じだよ、アンセム・エレサール』

『お前は俺の、いや俺たち姉弟の両親を何処まで知ってるんだ』

『君たちのご両親はリックスと同じく私の親友だった人達だ、ところで君はご両親の最後を知っているのかね?』

『何かの研究の事故に、巻き込まれたと聞いている』

『そうか、何も知らないのか、それならば教えてやろう、君のご両親を殺したのは……私だ』

『!!!!!!』

『君たちのご両親は私の研究する悪魔に反対していた、リックスは直ぐに去ってしまったが直ぐに失敗すると思っていたのだろう、だが君たちのご両親はしつこく研究の中止を求めてきた、それが面倒だったし、他の者に話されるのも厄介だったのでな、魔獣を送り込み殺した』


罪悪感も何もない平坦な声でグラツはそう語った。


『お前が……俺たちの……両親を…………よくもぉ!!』


アンセムが立ち上がりグラツに向かって走っていく。


『やめろアンセム!止まれ!』


なおもアンセムは止まらない。


『すいませんジントさん、バルクーサス借りますね』


アンセムはバルクーサスを手に持ち普通では持てない筈なのにウインドリックを使い風を利用してバルクーサスを持ち上げた。


『止まれアンセム!隊長命令だ!』

『すいませんアキト隊長、俺はやっぱり俺たちの両親を殺した奴を許せません!』

『だからって一人で突っ込む必要は無いだろ!止まれ!!』


アンセムは叫び声をあげながらグラツに向かって走る。


『アンセム!』

『アンセム君!』

『アンセム!!』

『止まって!!』


様々な叫び声が上がるもアンセムは一人で走っていく。


『ふむ、目障りだな、アルド、殺れ』

『はい、お父様』


アルドの右腕が魔獣のそれに変わっていく。


『やめろ……止まってくれ……アンセム……』


アキトのそんな声も虚しくアルドはアンセムと対峙した。


『どけ!俺はお前のお父様に用があるんだ!』

『通さん、お前はお父様には近づけさせん』

『ならば力尽くでどかすまで!!』


だが、アルドの身体能力は人間のそれを大きく上回っている、ましてやアンセムは重いバルクーサスを持っているのだ。


『やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』


アルドはアンセムの体を躊躇無く右腕で貫いた。

そして倒れたアンセムの体から血が流れ出る。


『ふむ、こんなものでいいだろう、撤収するぞ』


グラツはそう言って後方へ下がっていく。


『待てグラツ!!殺してやる!!!!』


アキトが叫ぶ。


『無駄だ、我々がお父様にあだなす者を排除する、我々はナイトローズ、お父様の護衛部隊だ』


アルドがそう言うと同時にグラツ達が視界から消えた。


『楽しみにしているよ』


そんなグラツの声が聞こえた。


『アンセム!』


鎖が解けたアキトとリラは真っ先にアンセムに向かって行った。


『た、隊長…………す…い…ませ…命……令……違反…ですよね』

『もういい!喋るな!!』

『いい……です……自分……の…体の…………こ…とは…自分…が……良く……………わか…り…ます……』

『そんな事を言うな!お前は助かる!!』


その間にもリラがエメラルドで応急処置をするが傷は深く殆ど意味をなしていない。


『も……う…いい…で…す……最期に………ひと……つ……いい……で……す…か?』

『最期とか言うな!!』

『姉貴……に…………いま……まで……あり……が……とう………って……伝えて………くれ……ませんか?』

『そんな事!自分で伝えろ!男だろ!!』

『隊長……みん……な……いま……まで…………あり……がと……うご………ざい……ました…………僕……はし……あわせ……でし……た……………だから…………そん……なに……泣かないで……く……ださい……』

『アンセム!!』

『グラツ……の……け……いか……く……を…………どう……か……』

『ああ、誓おう』


もうみんなの顔は、特にアキトの顔は涙が溢れている。


『あ…り……がとう…………ご…ざいます…………ど…うか…………お…幸せ……に』


そう言ってアンセムは静かに息を引き取った。

最後は自分が一番しんみりしてました……やっぱこういうのを書くのは辛いものがあります


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