#12 星一つ無い新月の空の下で
アキトとリラの過去の話です
『あれは、三年前のこと、私はグラジオラスに引き抜かれたの、私は本部に認められたことがとても嬉しかったんです。そしてそこの隊長をしていたのが、アキトだった』
アキトはグラジオラスの隊長に歴代最年少でなった、所謂天才だった、だが決して他の人を見下すこと無く、仲間の生存を第一に考える人だったので仲間からの信頼はとても厚かった。
グラジオラスは、その名前以外本部の一部の人しか知らない特殊部隊だった、だけど、その功績は永遠に語り継がれる程の功績を残している部隊だったから誰もが憧れていた。
『アキトはとても良い隊長だった、アキトが隊長になってからグラジオラスの死者は無し、そう、あの事件までは…』
『死者なし?そりゃすげえ、どんな凄い隊長でも守りきれないものもある』
『アキトは自分を犠牲にして皆を守っていたんです』
(自分の話を聞いているのだが、あまりにもすごすぎてあまり実感がわかないな)
『それより、あの事件って何なのかしら?』
『はい、皆さんは「聖典戦争」って覚えてますか?』
『ああ、あの2年前に終わった隣国との聖書の奪い合いな』
『はい、そのせいで生まれたのが魔獣、そしてシリウスができた』
『そして、同じ二年前、大規模な魔獣殲滅作戦があったのを知ってますか?』
『ああ、俺はアルビレオ支部の代表として行ったんだ』
『そうだったんですか、なら知ってますよね?結局その作戦は失敗、作戦に参加した人間の数、約200、そのうち死者、92人、重傷者68人、途轍もない犠牲が払われたことを』
『ああ、魔獣は殲滅出来たから、シリウスの上の奴らは作戦成功としたが、現場の奴らからの反発が、大きくて失敗になったんだよな』
『それなら、わたしも覚えてるわ、最終的に魔獣を殲滅した方法は巨大な爆弾を使って魔獣を倒したのだったわよね?』
『ええ、ですがその爆弾の爆発に巻き込まれて死んだ三人のことは知っていますか?』
『いや、知らなかったな、その三人が爆弾を爆破したのか?』
『ええ、ですが本当はそれを爆破させたのは五人でした。
それが、私達 グラジオラスだったのです』
リラの一言でその場の空気が変わった。
魔獣の殲滅については知らないものはいなかったが(アキトを除く)その犠牲については誰も知らなかったのだ。
『勘違いして欲しく無いのは、私達は誰も恨んでなどいないことです。と言うより、私達が恨むべきはむしろ本部のほうなんです』
『何故、本部直属の特殊部隊が本部を恨むんだ?』
そう聞きながらもジントは次に帰ってくる答えは分かっていた 。本部はそういうところなのだ。
『口封じの為です、私達は本部の暗部に関わっている、だから名誉の戦死と言うところで殺したかったんでしょう。だけど私とアキトは他の三人に助けられた』
(そうだったのか、だから俺はあんな力を…)
顔も覚えていないかつての仲間にアキトは感謝の言葉を言った。
『そして私達は、直ぐに治療を受けました。さすがに殺せなかった人を殺してしまうと不具合があったんでしょう、だから私には厳しい緘口令が敷かれています』
『そして二年間、私はいろいろな支部を転々としてアルビレオに来たんです』
『そうだったのか、…』
『でも、アキト、あなたは記憶を、何故失っているの?私はアキトは爆発の衝撃で死んだといわれてきた。だけどあなたは生きている、あなたが記憶を失うのには理由があるんだと思うの』
『わからない、リラに会って昔のことは少しづつ思いだしてきたけど、大事なことが抜けてる気がするのは気のせいじゃ無いと思う』
(やはり、本部には何かある)
リラの話を聞いてジントは確信した。
(こりゃ、やっぱりミサトも巻き込まなきゃダメだな)
そうしてアキトの過去は明らかになった。
失った過去の記憶には何が絡んでいるのか、それはまだ誰にもわからない。
〜???〜
『リラとアキトが接触したようだな、だが、アキトの記憶は戻るまい』
何かの画像を見ながら白衣の男が怪しく微笑んだ。
明日からは3話づつ更新していきます




