#103 星が綺麗だね
優雅なリズムと共に、広場では多くの貴族達がワルツを踊る。そんな姿を見ながらアキトとリラ、コトハはコルノスティ王国国王であるソールバニスとその部下カキツバタの隊長であるキケロ・デクアロスと話をしていた。
それはこの国。いや、この世界にとって最も重要な話だと言っても過言では無い。
『それは恐らく間違いないだろう。リラは確実にプレシア家のものだ。王の紋章を目視したのならば間違いない』
『やっぱりそうですか。ではやはり…』
『ああ、古の王の血は絶えてはおらん。それは確実じゃ』
今はソールバニス王主催の晩餐会の真っ只中である。
その最中この五人はソールバニスの元で、誰からも見られる場所。しかし誰にも話を聞かれることのない高さの場所で話をしていた。
それすなわち、このコルノスティ王国の元を作った古の王の末裔というこの国では殆ど知る者のない話である。
『すみませんソールバニス王よ、何分勉強不足なもので王の末裔という物が良く分かっていません』
『そうであったなリラよ、其方は王の末裔。此処までは良いか?』
『はぁ、まだ信じられませんが』
『指揮能力に特化したコルノスティ家。護衛能力に特化したリーゼクス家。遠距離能力に特化したプレシア家。殲滅力に特化した神凪家。この四つが王の末裔と呼ばれる古の王の血を濃く受け継いだ子孫じゃ。因みにこのデクアロス家は我々コルノスティ家から派生した一族じゃ』
『それで、私がいる事が何故そんな重要な事となるのですか?王の末裔というだけでは?』
『災厄の復活。それが引き起こされる可能性がある。だが、我々の血筋が絶えん限りそれを食い止められる可能性がある。という事じゃな』
『災厄の復活?』
『邪神の復活。といえば良いかの。それが復活すれば文字通り世界の破滅じゃ』
『……なるほど良く分かりました。まだ腑に落ちない事もありますが、これはまた今度ということで』
『ああ、今日はめでたい祝福の日じゃ。そんな日にこんな話をする事も無かろうて』
その言葉を受け、アキト達はそれぞれ下へと戻り、晩餐会へと参加した。
だが、しかしその話をする機会がもうない事は誰も知ることもなく。
〜〜〜〜〜〜〜
『いやー。流石に疲れた』
『ふふっ、お疲れ様アキト』
そういうリラもさっき汗をぬぐっていた。
アキト達は貴族の嗜みと言われ、ずっと貴族達と混じってダンスを踊っていたのだ。正確に言えば貴族とは違うのだが(神凪もプレシアも王族である)、此処に招待されている以上踊らない事はルール違反らしい。
コトハとはいうとミディア王女とその妹のであるチェリア王女と共に二人の母親であるライラ様とお茶会を楽しんでいるらしい。こちらの気も知らず楽しそうな事で。
とまあ、一応ダンスはしたので後は社交辞令をかわしつつ、本来の目的である晩餐にありつくべく、テーブルへと向かっていった。
結論から言って、アキト達はほとんど晩餐にありつく事は出来なかった。その周りにアキト達を取り囲む様に貴族の方々が集まってゆっくり食餌を楽しむ雰囲気では無くなってしまったのだ。その殆どはこの度の最大の功労者である神凪アキトに取り入ろうとする者たちだったが、貴族的礼式に則ったアキトの社交辞令で全て撃退したものの、その間に殆どの料理は下げられてしまった。
『ひどい目にあったよ』
『まあまあ、またの機会という事で』
『うん、まあそうだね。………今こうやってリラと二人っきりでバルコニーで話していられるだけ良いよ』
『全く………アキトは恥ずかしい事を平気で言うんだから』
そこが良いところではあるのだが。と、リラは思う。
出来ればその言葉は自分だけに向けて欲しいと思うのは傲慢であろうか。
『そんなことリラにしか言わないしね』
訂正。どうやらアキトは私の想像の上を行くらしい。
『星が綺麗だね』
『うん、本当に綺麗だ』
アキトはその言葉の裏の意味を知っているのだろうか、それともそんなこと自体を考えるのはダメなのだろうか。
『まあ、リラの方が綺麗だけどね』
知っていなくても自分の気持ちは伝わっている。
そう思えるだけで私は幸せだと感じる。ねえ、それはいけない事なのかな?教えてよアキト。
そうして晩餐会の夜は更けていく。
〜〜〜〜〜〜〜
『では始めましょうか』
『よろしくお願いします』
扇と太刀のぶつかり合う音が訓練広場を嘶く。
時は30分前に遡る。
アキトは晩餐会の次の日、ソールバニス王の願いによって兵士たちの訓練をする事となっていた。
だがしかし、オル・グランクを倒したとはいえ、神凪アキトの実力の全ては分からない。
No.1の適格者では無い神凪アキトはどれ程の強さなのか。
それを知らない事には兵士たちは訓練を受けてはくれない。しかも彼らは誇り高きカキツバタの兵士である。生半可な実力ではまともに取り合ってくれないだろう。という訳で手取り早く実力をしめす為にキケロと模擬戦をするという事になったのだ。
そしてさっきの場面に巻き戻る。
『それは練器か!前には無かったものだな!』
『蒼閃扇舞姫。俺が新しく授かった武装です!!』
『ならば私もこの雨打を思う存分使えるというともの!!』
『練器最強と呼ばれる雨打と全力で戦うのは初めてですね!ブリューナクは此処では振れませんから!』
勿論命を奪う気は無いが、それでも二人とも本気である。
そうでもしなければ本当の実力をを示す事は出来ないし、何より手を抜けるほど彼らは不真面目でも無い。
一撃を扇で受け。一撃を剣で流し。一撃を横にそれて避け。一撃を屈んで避ける。
そんな攻防をたった数瞬の内に行う二人はもう常軌を逸しているとしか思えない。
事実このカキツバタではキケロと全力で打ち合えるのはその娘であるシアンくらいなものであり、それでも数十秒後には勝負が決まってしまう。そんな戦闘を十分間も続ける二人はもう人としての域を超えている。
カキツバタの面々を置き去りにしながら二人は久しぶりの全力を楽しんでいた。
だが、その時。水面下では恐ろしい出来事が進んでいた。
〜〜〜〜〜〜〜
『至急陛下にお伝えしたいことが!!』
そう言って1人の兵士が王の間のソールバニスにそっと耳打ちをする。
その報告を受けたソールバニスは直ぐさまその報告の重要性とそれがもたらす結果を想像し、硬い顔をする。
そして、数回の迷いを断ち切る様に告げた。
『至急コルノスティ王国にいる王の器使いを全員集めよ。時は一刻を争う。それと、アキトとリラを呼べ』
今、前代未聞の出来事がコルノスティ王国を襲おうとしていた。
To.Be.Contined…The.next.stage…
この世界にも星が綺麗だ=I love you見たいな感じの言葉をいった人がいるのでしょう。たぶん
それと第5章は終わりです。変なところで切れてますが、次は続きから始まりますので。




