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聖焔の軌跡 〜Miracle Lucas〜  作者: ムササ
第五章 A crest and heart
106/121

#100 貴女の名前はなんですか(下)

新キャラ登場の巻〜

いや、少女ではあるのだがただの少女では無い。

その頭部からは獣の耳が生えており、三本の尻尾まで生えているのだから。

その少女は勢いよく俺たちの浸かっている温泉に飛び込んだ。


『えっと……誰あれ?』

『魔獣か?』

『ううん、違うあれは魔獣とは違う魔力を感じる』


唖然とする俺たちをよそにその少女は俺たちの方へと向かってくる。

よくその体を見てみると体は全体的に人間の少女のものだ。約5歳といったところであろう。しかし、恐らく狐のものであろう耳が頭部から突き出しており、その尻尾も狐と言って差し支えない。

要するに狐の耳と尻尾が生えている5歳程の少女といった外見なのである。


『ミュウ?』


そう言って首をかしげる少女はとても可愛らしく、人間と同じである。


『取り敢えず温泉から出ようか、この子も放って置くわけにはいかないし』


そういうことに落ち着き取り敢えず俺たちは温泉から出ることにしたのだった。

リラがその少女を抱き上げ、更衣室へと連れて行ったのを確認してから俺も着替えるために向かった。


〜〜〜〜〜〜〜


取り敢えず俺たちはアルビレオに直ぐ戻りリックスに指示をあおごうという事となり、アルビレオ支部へと戻って行た。三賢者と謳われる支部長ならばこの少女についても何か知っているかもしれない。

そしてその少女といえばさっきから俺の足にしがみついてずっと離れていない。どうやら俺たちに危害を加えるつもりは無いようだが、果たしてこの少女はどういった存在なのか検討もつかない。

明らかに人間では無い、かといって魔獣でも無い。そんな不思議な少女である。


『ミュウ!』


補足すると、どうやらその言葉以外は話せないらしい。

そしてかなり自分で言うのもあれだが、懐かれている。


『『ぶーー』』


リラとコトハも俺にずっとくっついているこいつの事が気にくわないらしいが、子供なので譲っているらしい。


『一体こいつは何なんだろうな?』

『さあ、私には分かりかねますね。コトハは如何ですか?』

『ごめん分かんないや、こんな人は見たこと無い』


詰まる所誰も何も分からないのだ。

その時俺たちの付けている通信機に緊急を報せるアラートが鳴った。


【みんな?今大丈夫⁉︎】

『うん、大丈夫だよ。どうしたのミラ姉』

【大変なの!今アキト達がいるあたりにスパルラスの群れが観測されたの!大変だと思うけど討伐してもらってもいい?】

『うん、全然問題ないよ?ねえみんな』

『うん!大丈夫だよ!』

『りょーかい!任せといて!』

『大丈夫だって!』

【うん、わかった後でちゃんとお金は払うって支部長も言ってる】

『あっ!そうだミラ姉後で支部長に話があるって言っといて!』

【ん?分かった。じゃあよろしくお願い!】


そう言ってミラ姉は通信を切った。

さあ、戦いの始まりだ。


〜〜〜〜〜〜〜


俺たちがミラ姉から送られてきた情報に基づいて探索すると、直ぐにスパルラスの群れを発見した。


『よし、この戦力なら正面から出て行っても倒せるだろう。準備はいい?二人とも』

『うん、大丈夫だよ!』

『任せといてお兄ちゃん!』

『ミュウ!』


少女は俺が護衛しながら、ブリューナクで一撃で仕留めていくという戦法である。

リラは俺たちの後ろからヴァルキュリアで仕留め損なったものを確実に仕留め、コトハがナルカミとツキウサギで撹乱するというものである。

まあ、スパルラスの群れ程度合計四つの王の器、その内二つが神の器である。楽勝であろう。


『さあ、行くよ!』


先陣を切ってアキトが勢いよくスパルラスの群れのど真ん中へと躍りでる。

それに気づいたスパルラスがアキトを攻撃しようと一斉に足で薙ぎ払ってくる。数は約十であろう。

だが、アキトにスパルラスの足が届く直前になって放たれたヴァルキュリアの矢がそれを阻むようにスパルラスの足に突き刺さる。耳障りな奇声をあげながらスパルラスがアキトから退く、だがその瞬間を狙い澄ましコトハがツキウサギをそれぞれのスパルラスの胴体に突き刺し動きを止める。そして動かぬただの大蜘蛛と成り果てたスパルラスを焔の大剣が狙いをつける。

ブリューナクが赤き焔の煌めきと共にスパルラスの体をなぞればその部分が綺麗にスパルラスから切り離される。

それで終わり。たったそれだけ、だが常人には到底不可能な技術の為せる技。


『ふう、お疲れ様』


全て胴体を真っ二つにされたスパルラスの間を縫ってアキトがリラ達の方へと歩いてくる。

背中には少女をおんぶしていて、見る限り怪我なども無さそうである。


『早くアルビレオに帰りましょう。出来ればその子の名前も欲しいですしね』

『うん、そうだね。お兄ちゃんに懐いているみたいだし危害は無いと思うしね』

『ミュウ!ミュミュウ!』


心なしか少女も嬉しそうである。

そして一行は不思議な獣少女と共にアルビレオへと帰るのだった。


〜〜〜〜〜〜〜


『ふむ、これは……』

『ミュウ?』


今この獣少女の周りにはいくつもの魔法陣が浮かんでおり、最初は驚いていたものの、アキトが大丈夫な旨を伝えるとそれを信頼したかのようにコテンと座っていた。

そしてそれらを見ながら何かを考えているリックスということだ。


『支部長なにか分かりましたか?』

『ふむ、どうやらこの子はアキト君とリラ君の様な存在みたいだね』

『それは、魔獣の魔力を持った人間という事ですか?』

『いや、正確に言うならば人の形をした魔獣という事なのだろう。骨格の構造自体は人間そのものだし、声帯も人間のものだ。だが、彼女の中に流れている魔力は魔獣そのものだ。それが後天的に備わったものというのは考えづらい』

『俺たちに対する敵意とかは無いですよね?』

『ああ、それは明確に否定しておこう。この子は少なくともアキト君に懐いているようだし、人間に危害を加えるものでは無い』


その言葉に俺を含め、リラとコトハが安堵の笑みをこぼす。温泉からついてきていた事もあって二人は中々に可愛がっていたからな。


『ところで、貴女の名前はなんですか?』

『ミュ?』


まあ、やっぱりというところだろう。

という訳で今ここに居るアマリリスのメンバーとグラジオラスのメンバーでこの子の名前を決めることとなった。


『と、いきなり言われてもねえ』


考え込んでしまうものである。

その空気を読まずに獣少女といえば欠伸をしながらついには支部長のど真ん中で昼寝を始めてしまった。


『ケモミンとかどうだ⁉︎』

『ケイ、なんですかそれは…安直過ぎます。却下です』


おおう、リラのケイに向ける視線が痛い…

支部長の隅で丸くなってしまったケイをよそに少女の名前の案は中々出てこない。


『アキト…アキトはどう?』

『うーん…そうだなぁ』


俺は思考を始める。

ふとその子を見ると気持ちよさそうに昼寝をしていた。

だがその周りには不自然な程に大気中の魔力が集まっており、少し光を放っていた。どうやらこの少女は魔力の源たるエレになんらかの加護を受けているらしい。


『どうやらこの子はエレに愛されているみたいだし、エレから名前を貰ってエレム…エレムというのはどうだろう』

『あら、良いわねそれ』

『うん!いいと思うよ!』


ケイトとリラからそれぞれ賛辞を貰った所で他のメンバーも見渡すとみんなうなづいてくれた。

といっても本人の承諾無しには決められない。

という訳で俺たちは少女を起こすことにした。


『おい、ちょっといいか?』


俺がそう声を掛けると耳をヒクヒクさせながら少女がこちらを向く。眠気がまだ抜けきっていないらしく瞼をこすっている。


『今、君の名前を決めていたんだ。エレムって言うのはどうだろう』


その少女はしばらくの間耳をヒクヒクさせたり、尻尾を上下に動かしていたが、その後。


『ミュウ!』


と、いいながら俺の方へと飛びついてきた。どうやら気に入ってくれた様だ。


『ミュウ!ミミュウ!』


そう言って俺に抱きついてくれる少女を抱き抱える。

エレムはその後みんなから可愛がられ、どうやらみんなを仲間認定してくれた様だ。

これならば大丈夫だろう。


『じゃあ今日から俺の部屋に泊めるとするか』


今日からはコトハとエレムと一緒に寝ることになるのだろうな。

そんな事を思いながら俺は苦笑していたのだった。

もう直ぐで第5章も終わりです。

今回は短めで纏めようかと。

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