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聖焔の軌跡 〜Miracle Lucas〜  作者: ムササ
第五章 A crest and heart
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#96 黒色魔力

やっとテスト終わりました。

それに合わせて魔法演舞も終わりです、時間が空いてしまいすみません。


アルビレオ支部主催、星誕祭メインイベント魔法演舞、決勝戦。


『負けないですよ?ミラさん』

『ええ、私も負けるつもりはないわよ』

『お手柔らかにお願いしますね?支部長』

『手加減は無しかな?』


遂に決勝戦の開始である。

先ずはリラとミサトが様子見とばかりにそれぞれ風の刃と水球を放つ。

目標は勿論リックスである。

非戦闘員であるオペレーターのミラを攻撃するのは何となくご法度となっている。

それをリックスはミサトの放った水球を自分のシーアンガーで相殺、更に吸収してその水を槍へと形状を変え、リラの刃とぶつけ合わせ相殺する。


『ふむ、気持ちのこもった良い挨拶だな』

『それはどうも』


そう返しながらもリラはリックスとの距離を勢いよく詰める。

流石に支部長といえど元特殊部隊グラジオラスに所属していたリラには接近戦では敵わないだろうというミサトとの事前の打ち合わせである。


『ふっ、よく見ておけアキト、あれが支部長が三賢者と呼ばれる所以だ』

『三賢者…ですか』


それを見ていたオルガがアキトにそう告げる。

アキトはそれを少し頭の中で考えながらも試合へと頭を切り替えた。


『大方接近戦ならば私に勝てると思ったのだろうが、それは甘いよ?』


リックスはそれはそれは大量に、水の球を乱射してきた。

だがそれら一つ一つがきちんとリラの方向へと向かっている。それだけでリックスの技量が伺えるものだ。


『私を忘れて貰っちゃあ困りますよ支部長!』


だがそれを全てミサトが凍りつかせる。

更にそれらを全て自分の支配下に置き、逆にリックスへのカウンターとした。

だがそれをリックスは水の槍を地面から発動させ、一つ残らず貫いた。


『ミサト君の魔法とは相性が悪いなぁ』

『ええ、全部凍りつかせてみせます』


有言実行とばかりにリックスが放った水の刃をミサトが凍りつかせて止める。

その間にリラが一気にリックスとの距離を詰める。

勿論前回の試合を見てミラへの警戒も忘れない。

そのままリラがリックスに向かって打撃を放つ。

それをリックスは後ろへ下がる事で回避し、水の刃でカウンターを仕掛けるが、それをすかさずミサトが凍りつかせ逆にリックスの自由を奪い、そこにリラの回し蹴りがクリーンヒットした。

その衝撃でリックスの体が後方へと飛ぶ。


『ふっ、流石は私の弟子と言ったところか?だがまだ甘い』

『まあ、リラはあんまり近接戦闘は得意じゃないですからね』


珍しくオルガがリラの事を褒める。

まあアキトとオルガは近接戦闘に特化したイレギュラーな魔法使いなのでオルガから見たらまだまだなのだろう。

だが、一部のそういう魔法使いを除けばリラは近接戦闘能力はトップクラスである。

だが、それを受けるリックスもまたバケモノである。


『ふむ、中々いい一撃だ。久しぶりに拳の感触を食らったよ』

『今度は私の魔力の感触を食らわせてあげますよ』

『そうか、出来れば隠しておきたかったのだがね。少々私も本気を出すとしよう』


そう言うとリックスは自身の周りに水を集め始める。


『!!まさか支部長、鎧を纏うつもりですか⁉︎』


オルガが驚愕を露にする。

だが他の人と達はアキトも含め何が起きるか分かっていない様だ。


『良く見ていろアキト、あれが支部長の本気の一部だ』

『…支部長ってどの位強いんですか?』


アキトの中ではリックスは少々はっちゃけるとうざったい変人研究者と言ったところだった。

だが、オルガの言葉から察するにどうやらそれは間違いの様だ。


『アキト、お前は三賢者を知っているか?』

『ええ、コルノスティ王国における最高の地位を持つ三人の大魔術師ですよね?』

『ああその通りだ。そしてその1人がリックス支部長だ』

『あの支部長が⁉︎』

『ああ、普段はあんな感じだが研究者としても魔法使いとしても一流だ。よく見ておけよあれをだすという事は少し本気を出すと言う事だからな』


リックスの周りの水がリックスの体にそってまるで鎧の様に形作られていく。


大海の支配者(カリビアン・ルーラー)これが私の本気だよ』


リックスは目にも止まらぬスピードでリラへと詰め寄る。


『!!速い!』


咄嗟に岩の壁を創り出すも、お返しとばかりの回し蹴りを食らい後退を余儀なくされる。


『強いですね、支部長』

『ええ、まさかこんなに強いとは知らなかったわ』

『あの鎧をどうにかしないと』

『ええ、私が攻撃したら逆効果だものね』

『何でですか?』

『だって、私が攻撃したら支部長の水の鎧が凍って防御力が高くなるだけじゃない』


(凍らせる、あの鎧を……そうか!)


『ミサトさん!それです!』

『何が?』

『いいから私が合図したら支部長の鎧を凍らせて下さい!』

『作戦会議は終わりかね?では行くぞ!』


リックスが水の刃を投げつける。

それをリラは炎で相殺すると、今度は岩の槍を投げつける。

リックスはそれを周りに発生させた水の刃で破壊する。


『今ですミサトさん!』

『分かったわ!』


ミサトはフリーズワールドを発動し、リックスの周りの水を全て凍らせた。


『支部長、その鎧膝裏にも水が張ってますね?支部長が回し蹴りをした時に見えました。恐らくそこだけ柔らかいんでしょう?だけどそんな事は凍らせてしまえば意味はない』

『流石だねリラ君、だが二度は通じないぞ!』

『必要ありません、ここで決めます!黒色魔力解放!』


リラが魔獣の魔力を解き放つ。

リラの全身を黒い魔力が包み込んだ。


『私の魔力が保つのは約30秒。それまでに決めます!』


リラはそれまでとは比べものにならない程のスピードで駆け出した。


(見える、これは……支部長達の先の動き?)


今リラの視界には支部長達がこれから動こうとしているのが予測して見えていた。

そして、それはミラの方にも。


『ミサトさん!フリーズワールド!』


今まさにミラがリラに投げつけた水の刃を向けミサトが凍らせて止める。


『何で分かったの⁉︎』

『見えたんですよ、先の動きが』


そしてリラはリックスの元へとたどり着く。


『ここまで近づけば私も抵抗できるよ?それを承知しての行動かい?』

『はい、最後は本気で行きます』


リラとリックスが同時に持てる全ての魔力をつぎ込んで一撃を放つ。


『エレメンタル・ヴォイド!』

『アトランティス・ウェーブ!』


そしてその刹那、閃光が会場を包み込んだ。

そして、2人の周りの爆煙が晴れる。

そこに立っていたのは…


『参ったよ、リラ君』


倒れこむリックスと肩で息をしながらも立ち続けたリラの姿であった。


『試合終了!!勝者はリラ・ミサトチーム!』


大歓声が会場を包んだ。



〜〜〜〜〜〜〜


俺は今にも倒れこみそうなリラへと駆けつけた。


『リラ!大丈夫か⁉︎』

『うん、大丈夫だよ……やっぱキツイね黒色魔力』

『そっか、優勝おめでとうリラ』

『うん、ありがとう。じゃあ早速明日は私に付き合って貰うからね』


俺は苦笑しながらも応じる。

その後はいつまでも鳴り止まない大歓声だけが響き渡っていた。


〜〜〜〜〜〜〜



『ここがアルビレオ……やっと会えるんだね……お兄ちゃん』




出会いの時は近い。


次からは新しい登場人物が出てくる……はず……

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