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プロ野球の投手が投げる球は、大体0.4秒でバッターボックスに届く。
打者が投手の投球の映像を目で受け取って脳で認知する迄に掛かる時間は大体0.2秒、
バットのスゥイングに掛かる時間が大体0.2秒。
つまり打者には実際のボールを確認、判断しながらバットをボールに当てに行く余裕は無い。
綿密な事前調査による投球コースの予測、積み重ねた練習による安定した動作、後は「身体」に任せるのみである。
にもかかわらず、多くの打者が、ホームベースを通過するボールを認識し、狙いの位置にバットを当てに行っていると確信するのは何故か、…実際には、それは後からエピソード化された記憶に他ならない。このエピソード記憶が「意識」の正体である。
サッカーのゴールキーパーがPK戦のボールを取り損ねるのと同じ程度に、巧妙な虚を織り交ぜた想定外な攻撃は、常識的説明を構築できない「意識」にとって意味不明になる。