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更に、キツク、蜘蛛は、人牛の首筋に喰らい付いて!
その腕の中の、武琉の「蛹」が、ゴロゴロと、床に、…転がり落ちる。
やがて人牛は、過呼吸に胸を上下させながら、比較的貧弱に見えるむき出しの膝を付いて、…
喜多見:「幻覚剤を散布シマス。 教授はお下ガリクダサイ。」
老人:「構わん、こんな刺激的なショーを見逃すものか、…続けろ。」
白衣の男達が、携帯していた防毒マスクを装着し、老人にも同様な物を付ける、
天井から、さーっと霧の様な甘い香りが降り注いだかと思うと、ピタリと、人牛の動きが止まった。
喜多見:「さあ、よーく見て御覧、あの女を。 ほら、待チキレナクテ、お前を誘ッテル。」
言葉に、誘われる侭に、人牛が、ゆっくりと、明里の方へと、…近づいていく。