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その生き物には下顎が殆ど無いらしく、時折、人間の腕程も有りそうな太くてピンク色の舌が、
毛むくじゃらの口の端からベロンとはみ出して見える。
太い鎖に繋がれた両腕は人間の様に素肌が剥き出しで。その細長い指は20cmを優に超えている。
明里は、必死に目を瞑って、…全てを無かった事にしようと、試みるが、…
機械的な白衣Aの指が、明里の下半身を覆う布切れに手を掛けて、…。
明里:「武琉―!」
化物:「ムグォオオオォ!!…」
突然!人牛の化物が、大きく吼えて! …暴れだす! 太い鎖がジャランジャランと音を立てて。
白衣B:「こいつ!…大人しくしないか!」