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白衣を着た男達が明里を壁際に引き摺って行き、体操の鞍馬の様な台に上半身と両足首を拘束する。
やがて、フォークリフトのモーター音と共に、豚の鳴き声の様な息遣いが聞こえて来て、
何だか「絆創膏の下で長い間放置されてフヤケタ皮膚」の様な匂いが、辺りに立ち込める。
老人:「要するに受精させれば良いのだ。マドロッコシイ前戯は一切抜きで良いぞ。」
老人:「折角だ、どんな相手か、女に鏡で見せてやれ。」
虚ろになった明里の髪の毛を引っ張り上げて、その直ぐ背後に迫る「化物」の姿を鏡に映し出す。
途端に、明里の理性は恐怖に引き戻されて、…アドレナリンが心拍数を、一気に跳ね上げる!
其処に映っていたのは、上半身を真っ黒い剛毛に覆われた、何か???
両目は牛の様に完全に顔の横に有って、額の上には、二本の短い角が生えている。