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老人:「お嬢ちゃんよ、何故、生命は「進化」する事ができるのか、考えた事はあるか?」
老人:「答えはシンプルだ。 変わりたいと望み、変われる事を信じて疑わないからだ。」
老人:「生命の基本単位は、太古の昔も今も、大して変わりは無い。」
老人:「DNAと幾つかの機能が共生する「細胞」こそが、生命の支配者だ。」
老人:「言ってみれば、組織や個体は、細胞の「労働組合」に過ぎない。」
老人:「細胞が望んだ時、組織や個体は「形態」を変えて、新しい「機能」を手に入れる。」
きっと、この老人は狂っているに違いなかった。
今や、どす黒い肉の塊の様に溶け始めた武琉を救う術は、残されていない様に思われる。