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そうして居る内に、武琉は、誰かに見つめられている事に、気がついた。
とは言っても既に視力は失われていて。どちらかと言えばそれは自分の「内観」に近い。
武琉:「誰だ? 誰が、俺を見ている?」
観事:「………、言葉は、…得意じゃない。 僕は、…観事、…」
武琉:「お前は、…人間じゃ、無いな?」
何故なら、今の武琉が、言葉を発する事が出来る訳が、…無い。
それならば、これは、絶命間近の幻覚か、走馬灯の類とでも言うのだろうか?
観事:「失礼だな、僕は此れでもレッキトシタ人間だよ。」
観事:「…僕は、君自身なんだ。今迄黙っていたから、今迄気付かない振りをしていた。」