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しかし、武琉は、そんな風に可哀想な境遇を同情してもらう事よりも、
無理矢理にでも自分を認めさせる事の方を選んだ。
何故なら、他人は本質的には絶対に自分の事を同情してくれたりしないと知ったからだ。
表向きに体面を保つ為に其れが常識だから人を哀れむのは気分が良いから、…
一時は自分を取り巻く理不尽な物語に共感してくれるかも知れないが、
そんな事では、自分の存在が報われる事は無いと気付いたからだ。
それならば、いっその事、こんな世界ぶっ壊してでも、…
武琉:「絶対!…此の侭で済ます訳には、いかねえ!!」
既に光を失ってしまった筈の武琉の瞳孔に、「確信」が、…宿る。