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老人は死体の財布からレシートや会員券だけ抜き取って、残りを運転席の床に放り投げた。
すぐ後ろに停められていたピックアップに乗り換えて、急いで現場を離れる。
老人:『心配するな、お前達を撃ったりせんよ、』 (『』は英会話)
老人:『こいつはウチの孫を誘拐した連中の仲間だ。 お前達も、危なかったな。』
車はポートリーの町からA855を少し北上し、少し山道を入って、やがて小さな一軒家に辿り着く。
有名な「ネクタイの老人」の奇岩が遠目に見えて、辺りには顔の黒い羊が我が物顔でうろついている。
老人:『入れ、血塗れのままじゃ、帰れないだろう。』
武琉と明里は、薄暗い室内へと、案内された。