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明里は、黙った侭、武琉の右腕を、元在るべき位置に押し当てて、…
零距離に迄近付いた、裸の明里から、まるで目に見えるミタイに、彼女の匂いが、想いが、立ち昇る。
武琉の五感が、コレ以上ない位確実に、明里を捉える。 見て、聞いて、匂って、触れて、味わって、…
観事:(いい匂いだね、)
それから、武琉が、…認識する。
武琉:(ああ、そうだな、)
武琉は、不意に奪い取った、明里の唇を、追いかけて、…
明里は、驚いて、半歩後退って、それから、踏みとどまって、傷だらけの、愛しい男を、抱きしめた。
明里:「ウチで、ええの?」/武琉:「ああ、「俺」に、選択権は無いミタイだしな。」
数十秒、二人の皮膚と粘膜が、まるで一つの生き物の様に交信して、…
武琉:(観事、明里を、…護れよ。)/観事:(当然!)