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武琉は、ゆらゆらと後退りして「経堂」から距離を取り、再び、転がった「自分の右腕」を、…凝視する。
武琉:「俺は一体、「何」なんだ?」
仁美:「…武琉さん!」
一瞬、戦意を喪失した武琉に気付いて、…仁美が声を掛ける!
「経堂」が、ズルズルと這いずりながら、武琉に向かって近付いてくる。…悩んでいる時間は、もう、無さそうだ。
武琉:「やれやれ、覚悟を決めるしか、…ネエか。」
武琉は、軽く溜息を吐いて、「経堂」にすっかり背を向ける。 それから明里に、心配そうに武琉の事を見守る、明里に真正面に向き直って、…
武琉:「悪い、明里、俺の腕を、…拾ってくれないか。」
涙目で、少女が、千切れた腕を拾って、武琉の下へ、駆け寄ってくる。
武琉:「ありがとう。」