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武琉は、地面に転がった自分の腕の残骸に、チラリと視線を落す。
武琉:(こいつも、放っておくと、第二、第三の「経堂」を作り出すのか?)
それから、苦痛の呻き声を上げる「経堂」に、向き直る。
武琉:(「コイツ」は、前にオックスフォードで千切り取られた「俺の手首」から成長した「化け物」?と言う事だが、…)
武琉:(俺は、一体「何」と、戦っているんだ?)
武琉自身にせよ、「経堂」にせよ、第三形態が「観事」と関係しているのは明らかだ。 そもそも「観事」とは、何なんだ?
「僕は何時でも武琉と一緒に居るよ、」
「言葉を操るのは得意じゃないんだ、」
「僕は君自身なんだ、」
「今迄気づかない振りをしていた、」
「何も無い者と話するのは気分が落ち着かないんでしょう、」
「武琉が僕を見れなくなってただけだよ、」
ゾッとしない直感が、武琉を、…追い詰める。