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武琉は両腕を失い、足にもまともに力が入らない。 もはや、根性以外は全てエンプティー。
武琉:(くそ観事! 全く肝心な時に役にたたネエ奴め、…後で、覚えてやがれ!)
未だ、観事の能力が奪われたカラクリは、解らない。
恐らく「感染」によるモノだとは想像が付くが、どうすれば、観事を復活できる?
最後の勝機は、其処にしか無い様に思われるが、…
第四形態とか勝手に命名された「経堂」の姿は、何処となく体長3mの甲虫にも、似て、もはや二足歩行であること以外、人間だった面影は、見あたら無い。
祖師谷:「やれ!」/武琉:「……!」
「経堂」は、十分に踏み込んだ間合いから、焦るでもなくゆっくりと、大きく振りかぶった手刀を、武琉の首目掛けて、水平に、…疾らせた!
明里:「いやぁああ…!」
膝を折って、ヨロケタ武琉の胴体が、力なく「経堂」に、…靠れかかる。