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彼女の言葉は、<私>の中の、自分自身にすら触れられない奥深くに迄、遠慮会釈無しに、侵入する。
濱平:「「あいつ」は、何度はぐれたって、必ず<お前>を見つけ出すだろ。」
濱平:「「あいつ」は、どんなに変わってしまっても、必ず<お前>に手を差し伸べるだろ。」
濱平:「だから、<お前>だけが勝手に諦め無くても、良いんじゃ無いのか?」
彼女の言葉は、幾重にも重ねた、<私>の心のカーテンを、いとも簡単に手繰り開ける。
濱平:「あの時は、<過去>が、現在だった様に、」
濱平:「現在だって、直ぐに過去になっちまう。」
濱平:「そんなモノは、電車の時刻表と大して変わりゃしないのさ。」
彼女の言葉は、<私>が仕舞い込んで失くしてしまった痛みを、いとも簡単に拾い上げる。
濱平:「なんで、<お前>は、「あいつ」の事が好きになったんだ?」
濱平:「なんで、<お前>は、「あいつ」の事が好きなんだ?」