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『記憶』は作為的で、『理由』は付随的だ。
そんな『曖昧なモノ』が、何時迄も現実を繋ぎとめて置けない事位、知っている。
<私>には、「武琉」を信じる事も、励ます事も、…出来なかった。
<私>には、『不安』と、『畏れ』しか、…見つけられ無かった。
「武琉」は、…何時も、直ぐに居なくなってしまう。
あの時も、あの時も、あの時も、そして、二人が未だ幼かったあの日の午後も、
<私>は、その度に一人取り残されて、迷子になって、居場所を見失う。
「武琉」は、…どんどん、先に行ってしまう。
どんどん変わって、どんどん<私>には、手に負えないモノになる。
<私>は、その度に一人取り残されて、迷子になって、居場所を見失う。