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押し潰された「武琉」の左足首は、体重を乗せきれずに、一瞬体勢を崩す。
「経堂」もチャンスを活かして攻め込む事はせず、破損したパーツの回復に専念している。
数回の深呼吸の内に、千切れかかった「経堂」の指は透明な体液に包まれて、ソレが固まりながら、組織を再生、補強する。
「武琉」も、数回、トントンと軽くステップを踏んで、すっかり馴染んだ左足首の感触を、確かめる。
武琉:「やはり、普通の壊し合いじゃ、埒がアカネエか、…」
それでも! 懲りずに「経堂」が、突っ込んで来た!
もはや、キレタ子供ミタイに、何の技術も戦術も関係無しに、殴り!蹴り!掴みかかる!
「武琉」は、ギリギリの処で、関節部を迎え撃って、止めて、直撃を避け続ける、が、…
何時までも、そんなやり方で逃げ切れる訳が無い!
爪先で「経堂」の眉間を蹴って!…その反動で、数m、後退し、再び体勢を、立て直す。
武琉:「全く、こりネエ奴だな、」