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武琉は、首の骨を折られて弾き飛ばされた「もう一人の観事」を見下ろして、それから、傷付いて横たわったままの黒騎士に目を配る。
明里:「…武琉!…あんた、ホンマのほんまに、武琉なん?」
武琉:「俺以外、何処に俺が居るって言うんだ?」
明里、仁美、耕助、それに、確か「教授」とか呼ばれていた黒眼鏡の老人、武琉は一同を一瞥して、…
それから、転がった侭の「もう一人の観事」の下へ歩み寄る。
武琉:「こいつは、何モンだ?」/観事:(武琉にソックリだね!)
祖師谷:「そいつは、お前自身だよ。」
武琉は、黒眼鏡の「教授」を、睨みつける。
祖師谷:「お前が残して行った「手首」を覚えているか? 「アレ」を移植したのだ。…感染し、寄生され、すっかり乗っ取られるまで、あっと言う間だったぞ。」
「化け物」が、ゆっくりと息を吹き返して、身体を起こす。 一瞬、ゆらりと擬態用の姿が見え隠れして、…
武琉:「つまり、こいつは「フード男」って言う訳か。」