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「化け物」は、そのトロミの有る液体に濡れそぼった、濃い茂みに鼻を押し付けて、…まるでティスティングの様に、キツイ匂いと味を、確かめる。
丹羽は、仮令どんな風に辱められたとしても、自ら命を捨てる事はしないと心に誓っていた。 それが、同じ様に容赦なく「奴ら」を蹂躙してきた自分の義務であり責任だと納得してきたつもりだった。
今や、馬乗りになって、到底収まり切る筈の無い巨大なモノを押し当てて来る、その「人外」の姿に心の底から怯えながらも、…
丹羽:「お、じさん、…、 …こわい、よぉ…」
そして、次の瞬間!
黒くて、巨大で、硬い、鉄の塊の様な<モノ>が、…
何の前触れも無く飛来した、黒い、<大型スクーター>が、「化け物」の首根っこを、…弾き飛ばした!
ステージのコンクリートで火花を散らしながら、横滑りして、急停止する、<アプリリアSRV850激似のフライングシューズ、ヴィマナMarkVII>、…!
片足で、重いスクーターを支えて、「化け物」を睨みつける、濱平万里!
ステージ上の全員が、呆気に取られて、時間の流れを見失う、…
武琉:「やれやれ、…ミットもネエ事、してんじゃネエよ、…、」
そして、舞台の中央に立ち、軽く溜息を吐く、…大和武琉、と観事!
観事:(さてっと、漸く出番だね!)