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丹羽は、自分の右手首が、ジワジワと握り潰されて行くのを、何処か遠くで感じていた。
彼女は身体の一部を破壊されながらも、正確に精密に淡々と、必要な作業手順を続けていく。…アッパーカットの要領でピストル型の発射器に装着された注射針を「化け物」の鳩尾の上辺り、心臓の深く迄めり込ませ、…其の侭、腰の後ろ液体窒素ボンベの開閉トリガーを引き絞って、ありったけの-196℃を「化け物」の体内へと、…流し込む!
心臓の中で、生暖かな「化け物」の血液に触れて、液体窒素は急速に沸騰、膨張! はちきれた血管の裂け目から、蒸気になった窒素が噴出して、更に、…
黒騎士:「あっと間に、…凍っちまえー!」
体内に留まった液体窒素が、「化け物」の筋肉と内臓を凍結させて、…
そこ迄で、…中途半端に、液体窒素のボンベが、…空になった。
黒騎士:「チクショウ!…」
それでも、体幹部分の筋肉は、相当なダメージを受けて、当分は麻痺している筈!
黒騎士は、「化け物」の喉元に突き刺さった侭のブレードをひっ掴んで、其の侭、化け物を突き飛ばしながら、喉から臍に掛けて、自分の体重ごとブレードを、…引き下ろした!