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とうとう黒騎士は、精根尽き果てて、…膝を付く。兜の中の口元は、涎とも嘔吐物ともつかない冷たいモノで、溢れかえっている。
ゆっくりと、初めて、「観事?」が歩み寄ってくる。「ソレ」は、出現した場所から今迄、一歩も足を動かしていなかったのだ。
黒騎士は今一度、両脚に気力を送り込む。 ゆらりと伸ばしてくる「化け物」の左腕に、黒騎士が、再度「フェイント!の右スマッシュ」でブレードを、捻り込む!
「化け物」は文字通り赤子の手を捻るごとく、疲れ切った黒騎士の右手首を捕まえて、…其の侭、捻り折った!…完治し切っていない丹羽の肘靭帯が、再び悲鳴を上げる!
丹羽:「ああああっ…!」
しかしその時既に!!…黒騎士は、絶叫で痛みを意識の外へ切り離しつつ、左腕に装備されたブレードを、スプリングと火薬の威力で「スペツナズナイフ」宜しく、「奴」の喉元、下顎の裏から脳髄に向けて、…射出していた!
ナイフは見事命中!、「観事?」は一瞬身体をぐらつかせるが、コレくらいの事で沈黙する様なら、トックに世話は焼けない! 黒騎士は、その一瞬の隙をついて、「本命!のN2兵器」の注射針を、…発射しない!? …又、ジャムった?
黒騎士:「ちぃい、…!」
其の侭、ピストル型の発射器ごと、「化け物」のアバラの隙間に、…メリぶち込んだ!!!