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そして突然、蔦の絡まり合った小枝の陰から「ソレ」が姿を現した。
まるで「大晦日のナマハゲ」だか「正月の獅子舞」ミタイな顔をして、その真っ赤な顔の大きさは1m×1m×1mは有りそうな略立方体。 所々縺れた枯れ草の様な剛毛を振り乱し、巨大な顎からは収まりきらない河馬の様な上下の牙が覗いて、その黒くてビロビロの唇の端からダラダラと滝の様な涎が垂れている。
丹羽:「コレも、幻覚かな?」
デカイ顔面の後ろに隠れた、人間ソックリな下半身はどこかエロティックで、プリっとして軟らかそうなお尻が丸出しになっている。
大佐:「こんな生き物は、戯けた空想の中にしか存在しない。構わんから殺ってしまえ!」
二名の兵士が前に出て小銃を連射すると、たちまち「ソレ」は豚に似た情けない悲鳴と共に、其処ら中に体液を撒き散らす!
そうすると、赤くて巨大な顔面がゴロリと取れて、獅子舞の被り物の下から、銃で撃ち抜かれた血塗れの女が正体をあらわして、そのままその場に、…崩れ落ちる。
兵士:「もしかしてコイツ、ヒトなのか?」