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やがて車は、御殿場から河口湖方面へ、バイパスから脇道へ反れて、別荘地の一角を、更に寂しげな森の奥へ続く細い未舗装道路を行き止った一軒の屋敷の前で停車する。
同行した隊員の一人がヘルメットに装着したカメラで映像を送りながら、室内へ入る。
どうやら、屋敷は既に、蛻の殻らしいが、…
仁美:「武琉さんは此処に?」
鳥越:「一度、藤沢さんと一緒に監禁されて居たらしい、その後自力で脱出し、次に藤沢さんから自宅に電話連絡が有ったのは3日後、茨城県の交番からだ、それ以後の足取りが掴めない。」
実験室の様な部屋、その奥のドアを開けると、コンクリートで四方を囲まれた檻?の様な部屋、…その真ん中に、
誰かが、椅子に座っている? 小柄な、…
懐中電灯の光を当てると、闇の中に、黒い丸眼鏡を掛けて黒マントを羽織った、老人の姿が、…浮かび上がる。
隊員が、駆け寄って生死を確認する。 どうやら、生きてはいるらしいが、…かなり弱っている。