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武琉:「こいつは、生き物なのか? 何で、こんなにボロボロで、何で、…生きてるんだ?」
武琉は、水槽の直ぐ傍まで近づいて行って、まるで睨み返してくる様な、目蓋の失われた眼球を、…凝視する。
男の子:「「コイツ」も、お前と同じ「人間」だよ、…お前からそんな台詞が出てくるとは意外だったがな。」
確かに剥き出しの心臓は、かすかな伸縮を繰り返しながら、チューブで外部から供給される栄養分を、体液に乗せて全身に行き渡らせている。 こんな姿に成り果てても尚、生存への執着を忘れては居ないらしい。
男の子:「お前が、「コイツ」の生い立ちとか事情とか、宿命の事を気にかける必要は、これっぽっちも無い。」
男の子:「私の要求は、ただ、お前の身体を「コイツ」に分けてやってもらいたいと言う事だ。」
男の子:「これから12回に分けて、一部分ずつお前の肉体を「コイツ」に移植手術する。 欠損した内臓、筋肉、眼球、皮膚、その他諸々だ。 なに、お前は、直ぐに元通りに再生するのだろう。 安い取引じゃないか。」
そう言って、男の子は初めて、嬉しそうに、…哂った。