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屋敷の地下倉庫を、更に深く潜ると、…長い階段の果てに、やがて広い地下鉄のプラットフォームが現れた。
たった一両だけの車両に乗り込んで、無言の侭、数分を過ごし、…やがて地下鉄は、煌々と明りの点った小さな駅に到着する。
どうやら、何かの軍事施設らしい。
男の子は、先頭に立って一堂を導き、…顔パスで幾つかのゲートを通り過ぎた後、緑色の廊下の緑色のドアを開けて、
薄暗い、集中治療室の様な部屋へと、到着する。
其処には、巨大な熱帯魚の水槽の様なケースに入れられた「何か」と、傍らの椅子に腰掛けてじっと「何か」を見つめる女が居た。
女が、武琉達に気付いて、顔を上げる。
よく見ると、女の左目は失われていて、ぽっかりと暗い孔が空いた侭だ。 顔にも腕にも彼方此方傷だらけで、右腕の肘から先は義手らしい。