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ジェームス:「今のこの彼の姿は、一種の擬態と考えられます。彼の本来の姿は、外見上大型のネコ科の動物にも似ていますが、骨格構造は既存の、どの哺乳類とも異なっています。」
アンドリューが、携えてきたタブレットで、偉そうな男の子に幾つかのプレゼンテーションスライドを見せる。
ジェームス:「再生能力と生命維持能力はコレまでの脊椎動物の常識を超えています。内臓器官は幾重にも機能を重複していて、一箇所が欠損しても再生するまでの間、他の臓器で補完する事が出来ます。 体内の数箇所に酸素を蓄積貯蔵する器官があって、40分程度なら無呼吸で活動する事も可能です。」
ジェームス:「そして、最も特筆すべき特徴は、彼の組織が他の生物に移植が可能と言う事です。しかも移植された生物は再生能力を引き継ぐ事が出来ます。」
ジェームス:「別の言い方をすれば、彼の組織を移植された動物は、彼と同じ能力を持つ、つまり彼に乗っ取られてしまう、と言う事です。」
男の子:「面白いな、それで、乗っ取られた生物は、精神まですり替えられてしまうのか?」
ジェームス:「それは未だ分かりません。 但し外見同様に人格も擬態して成りすましている可能性はあります。 彼自身、元の人間だった頃の人格と、それとは別の人格とが、一つの体の中で同居している様です。」