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ライダーは警官に拳銃で包囲された侭、だからと言ってドウコウ反撃できる状態では無く、身体はまるっきり自由を失った侭で全く力が入らない。
其処へ、オレンジの中折れ帽を片手で抑えながら、痩身長身のイケメンな私立探偵が現れて、 蹲るライダーの前にしゃがみ込んだ。
耕助:「お前には、色々借りがあるからな、この際、利子付けてそっくり返させて貰うぜ。」
ライダー:「無駄な、…事、を、…」
ライダーは、血反吐を垂らしながら負け惜しみを言い、…
4人の警官が、自力では立ち上がる事も侭ならないライダーの身体を引き摺って、連行する。
耕助:「あいつから武琉の手掛かりを掴めれば良いんだが、」
仁美:「……、」
仁美は黙った侭、曇り空が滲んだ水銀色の水平線の彼方へと、遠い視線を送る。