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警察が敷地内をくまなく調査したが、幼女の他に盗られた物は何も無かった。
自分でぶちまけたアンモニア以外、部屋の損壊の跡形も無い。
それどころか病院中の監視カメラには、怪しい物は何一つ映っていなかった。
明里:「これからどうするん?」
武琉:「どうもこうも、やられっぱなしってのが、我慢なんねえ!」
明里が、ぼろぼろに綻びた、一枚の小さな紙切れを、…取り出して見せる。
明里:「そう言うと思た。…」
何かの身分証明書の切れ端らしい、女の名前が書かれてある、…「立花桜子」、
明里:「パパがあの子を診察した時に上着の内ポケットの中で見つけたって。」