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天井から粘着性の白い紐がボタボタ降り注ぎ、体中に纏わり付いて自由を奪う。
見上げると天井中一面に張り付いて蠢く、人間の腕程の太さもある海鼠の大群!
そして、壁に張り付いていた牛程の大きさもある巨大な蜘蛛が、近づいて来て、
明里に縋り付いて泣き叫ぶ幼女を奪い取り、くるくると蜘蛛の糸に絡め包む。
明里:「武琉…!」/武琉:「くそぉっ!」
海鼠の腸が、口から、鼻から、耳から体内へと潜り込み、…
なす術も無い侭に、視界と、呼吸が、奪われて、…………!
気が付くと辺りは全てが元の侭で、何一つ、襲撃の痕跡は残されていなかった。
酷い頭痛とアンモニア臭と、不思議な幼女が連れ去られたと言う事実以外は、