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やがて、焼夷弾に焼かれた道路の上に横たわる観事の元へ、近づいて来る黒塗りの大型SUVが数台、恐らく、ハンヴィーの改造車。
何処かで見た事のある様な戦闘服の兵士達が車から飛び降りて、観事を取り囲み、小銃の狙いを定める。 消化剤が撒かれて、炎は消えるが、グズグズと爛れ熔けた観事の全身からは、未だ熱を帯びた異臭が、煙と共に立ち昇る。
観事:(痛いよ~)/武琉:(俺だって痛いよ!いいから死んだ振りしてろ!)
ぼろぼろと焼け焦げたとはいえ、観事の身体能力ならば、小銃を持った兵士位、何とかあしらえない事もない、問題はその数だ、幾ら何でも20人以上は居る武装兵士を片付けるのは、容易ではない。
武琉:(多勢に無勢だな、きりが無い、)
兵士達も、観事を警戒しているのか、陣形を保ちつつも必要以上には近づこうとしない。
そして、ハンヴィーのサーチライトの中に、黒いロングコートの大男が現れた。