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やがて、「彼」は私を抱いた侭立ち上がると、不意にトラックの幌を突き破って外へ、…夜の大気の中へ飛び出した!
人気の絶えた、真夜中の細い県道、周りは、一面真っ暗闇の、田んぼらしい。
私を抱いた異形のモノが、頼りない街灯に一人、照らされる。
明里:「何処に、行くん?」
恐る恐る、聞いてみる。 本当は言葉が通じているのかすら定かではない。
「彼」は、辺りの夜をグルリと見回して、それから、跳ぶ様に走り始めた。
そして、行き成り高く跳躍する!
風をはらんで、髪が、青のドレスがハタメク!
私は、こんな風にカドワカサレル事を、もしかしたら心の何処かで、ずっと待ち望んでいたのかも知れない。