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私は、どんな顔をすれば良いのだろう?
そもそも、「彼」が武琉なのか、武琉の記憶位は残しているのか、それともまるっきり別の「何か」で、今から私を巣に持ち帰って食べちゃおうとしているのか。それすら想像も付かないのだ。
そんな不安そうな私の顔を見て、「彼」は、細長い指で私の顔にかかった髪を梳くい上げて、…優しく撫ぜてくれる。
何故だろう、直ぐに殺される訳では無さそうだと感じた途端に、ぽろぽろと、…涙が零れ始めた。
武琉は、どうなってしまったんだろうか?
私が好きだった武琉とは、一体何だったのだろう?
私は、ちゃんと伝えられただろうか?
私は、もう一度武琉に会う事が出来るのだろうか?