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プラスチック製の手錠と足枷、そうは言っても簡単には壊せない。それと拳銃。
武琉はそんな格好で、この怪しい老人について屋敷の奥へと向かう。
学校の理科室の様な部屋の中央、縦長テーブルの上、円錐形の水槽の中に、…
武琉の手首が吊り下げられていた。 イギリスで、フード男に千切られたモノだ。
老人:「実に興味深い事に、この手首は未だ生きている。正確には完全には死んでいない。」
老人:「通常、人間の細胞は単体では長く生存できない。 組織を構成し、器官を構成し、それぞれ役割を分担して塊として生存する様に「進化」してきたからな、まるで人間社会と同じで「システム」の奴隷と言う訳だ。」
老人:「ところが、お前の細胞は呆れるほど諦めが悪い。まさしくお前らしい。」
武琉:「だから何だって言うんだ?」