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幻妖譚  作者: 茅蜩
第一話 胡蝶之夢
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五章 夜客

一話、六章目です。

毎週土日に更新……とかペースを保って出来たらなぁと思う今日この頃。

「請負人……?預かり知らぬ連中だが、人間共をくれてやる訳にはいかんな」

「悪いが、こっちも手ぶらで帰る訳にはいかないんだよ。請け負った仕事なんでね」


 やはり、すんなりと言うことを聞いてくれる相手ではない。だがこちらとて、ここ で引き下がるつもりはない。


「憂鬱を抱いて生きる毎日より、快楽に満ちた夢幻に生きる方が誰にとっても良かろう。邪魔立てされる謂れはない」

「物は言い様ね。結局、人の命を理不尽に奪おうとしてることに変わりはない。そんなの、貴方の独り善がりよ」 


 紫苑が枕返しを睨んで言ったところに俺も続いて言う。


「例え問題に行き当たっても、そこから逃げるかどうかはそいつが決めることだ。勝手に逃がすのはただのお節介さ。ま、お前の場合、下らない建前にしか聞こえないけどな」

「貴様等……此処が何処か、知っておろうな?」

「俺達なんて好きなようにできるって?ハッタリだな。此処があんたの支配する夢だってことも、あんたが魂を繋ぎ止めるためにこの夢を操作できないでいることも、全部わかって俺達は来てるんだ」


 一瞬、枕返しが目を見開いた。図星だったか。


「大人しく人々を返してくれれば、手荒な真似はしない。あくまで返さないってんなら、強行策に出させて貰う……どちらが得か、解らない訳じゃないだろう?」


 枕返しの表情がひきつる。ここまでだ。魂が全て肉体に戻れば、全員が目を覚 ませばこの夢も消滅する。そうなれば奴も完全に無力だ。

 枕返しが杖で地を突いた。奴の前に、五匹の蝶が集まった。その中には、先程俺達が見た蝶の姿もあった。


「この蝶が?」

「そうだ。此処に抜け出た魂は蝶となって舞い遊ぶ」

「蝶が五匹とも此処にいるってことは、此処は一人だけの夢じゃないのか?」

「五人の夢を繋ぎ合わせた上で細工をしたのだ」

「成る程な。それなら一々見回る手間も省けるってわけだ」


 再び杖が突かれると、蝶の一匹が霧に紛れるように薄れ、消えた。その後も、突く度に一匹、また一匹と消えていく。


「これで解放された訳だな?」

「ああ」


 最後の一匹。杖を突いた瞬間だった。

 翡翠色の蝶が、突如出現した虫籠さながらの小さな鉄檻に閉じ込められた。枕返しがそれを手に取る。


「!……何の真似だ、あんた!」


 俺が檻を取り返そうとすると、奴はすぐさま後ろに飛び退いた。それを追って俺は前に出る。紫苑も同じように奴の所に向かおうとする。


「ッ!?」

「遼!?……うわっ!」


 駆け出すなり、茂みから伸びた蔦に身体を縛られた。それに気を取られた紫苑もまた蔦に絡め取られる。


「何を……放しなさい!」

「くくっ、餓鬼共が舐めおって……いい様だ」


 喉元に、刃のように鋭く尖った蔦の先が向けられる。


「所詮は夢と思うなよ。あくまで貴様等は実体……こうして喉を掻き切れば、ただでは済まぬぞ」


 枕返しが初めて笑みを見せた。勝利の確信と悪意とに満ちた、禍々しい笑みだった。


「一匹でも残ってりゃ夢を見てる人間はいる……そして一匹だけ残せば、夢を維持しながら、俺達を制するだけの力も得られる、か……」

「そうだ。この場所は最早儂の思うままよ。先の脅しとは違うぞ。儂の思った通りにこの世界を動かせる」

「……はっ。思った通り、ね」


 俺は使い魔を呼び出した。俺の右側に、腹にリボルバー式拳銃のシリンダーと銃口とが一体化した、大きな鉄色の雀蜂が姿を現す。

 直後、枕返しが杖を突くと共に数本の尖った蔦が伸びて蜂を貫いた。鉄蜂は出現した時と同じように、黒い炎に包まれて消えた。


「妙なモノを使うようだが、ここではそれも無駄なのだ」


 俺は奴の顔を見据えたまま言う。


「はっ、何が無駄だって?」


 枕返しの顔から、冷笑が消えた。


「何?」

「もう遅い!」


 次の瞬間、枕返しが気をつけの姿勢で硬直し、倒れ伏した。苦しみ悶え、顔を歪めて叫ぶ。


「があぁ……っ!貴様……何をした!」

「あんたに答える義理は無えよ!」


 俺は紅い狼の使い魔を呼び出す。狼は紫苑に駆け寄ると、尻尾先と同化した打刀の刃で蔦を切った。


「紫苑、あの檻こっちに寄越せ!」

「任せて!」


 紫苑が数歩走り、ポケットから取り出した短刀を抜き放つと同時に地を強く蹴って跳ぶ。枕返しの傍らに着地し、奴の左手から檻を奪い取るとこちらへ投げた。

 紅狼に蔦を切られた俺は左手でそれを取る。


「動かないで。……まあ、動ける筈もないでしょうけどね」


 紫苑が枕返しを地面に押さえ付け、先程の蔦と同じように、枕返しの喉元に短刀を突き付ける。

 俺は歩み寄りながらポケットからバタフライナイフを出し、蝶を傷付けないよう刃で檻を切り裂く。見た目はこれでも妖気を断つ力を持った妖刀だ。この程度、どうということはない。

 蝶が上空へ飛び立つ。最早この場所に留まる気は無くなったらしい。


「残念だったな。取り返させて貰ったぞ」


 俺は枕返しを見下ろして言った。


「だが、貴様等とて……此処から、どう、出る?儂は、出るつもりは、ない……貴様等もろとも、この異界と共に、消えてやるわ……!はは、ははは……っ!」


 枕返しがこちらを睨み付け、呻き声ながら喚いた。紫苑が忌々しげに押さえる力を強めた。

 霧が濃くなってきた。最後の一人が目を覚ましたことで、夢という異界が消えようとしている。


「生憎、こっちだって何の考えも無いわけじゃないんだよ……。おい、聞こえるか宮原!」


 山吹色の鸚鵡が右肩に現れ、宮原の声で応答する。


『五月蝿いわね、怒鳴らなくても聞こえるわよ。どうかしたの?』

「出口を開け。異界が消え始めた」

『雑な頼み方ね……わかったわよ、ほら』


 入った時と同じ白い鳥居が浮かび上がる。

 枕返しの体に巻き付いている橙色の蝮が姿を現した。蝮は頭部と尾部を除けば鎖の形状をしている。


「何だ、これは……!」

「ちょっとした手品で隠してたのさ。蜂は囮だ。かかってくれて助かった」


 蝮の頭には、迷彩柄の七節が止まっていた。使い魔の存在を隠すこの七節、やはり連絡用の鳩にくっつけるだけなのは惜しいものだ。お陰でまんまと蛇を隠して奴の目を欺けた。

 俺は蝮の尻尾を引っ張り上げた。


「戻るぞ紫苑。こいつは俺が持ってく」

「わかった。それじゃ、先に行ってる」


 紫苑が鳥居をくぐる。俺は後ろの枕返しを見て言う。


「卑怯だ、なんて言うなよ?卑怯はお互い様だ。さ、外で話を聞かせて貰おうか」

「貴様ぁぁ……っ!」


 何事か喚く枕返しを引き摺り、俺も鳥居に向かって歩き出した。


今日も今日とてニチアサを観ました。「仮面ライダーフォーゼ」の超展開に吃驚です。オンドゥルルラギッタンディスカー!(0w0)

「フォーゼ」は最初デザインが気に入らず「これホントに面白いのかよ……」と思ってたんですが、いやー、ストーリーは本当面白いです。

平成ライダーは「仮面ライダーディケイド」以前のシリアス路線も好きですが(というかかなり好きです。その影響を強く受けてます)、「仮面ライダーW」以降の最近のライダーのストレートなヒーロー性も好きです。格好いいんですよ、純粋に。アンチヒーローも王道ヒーローも、それぞれ良さがあるもんですね。どちらの意味にしても、そういう格好良いストーリーが作れればいいなぁ、と思います。


……長々とすみません(苦笑)

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