二章 暗中
ご感想を頂き誠に恐縮です。ありがとうございます。頑張って執筆していきます!
・四月八日/非常に微細ではありますが一部加筆修正しました。
四時を過ぎた。
「それじゃ時野君、俺達は此処から別行動とするよ」
「え、その、大丈夫なんですか?」
「君としては八代さんの傍にいたいんじゃないか?それに、どうせこれから俺達が向かう所は、俗に言う企業秘密だしな」
「あ、別れるなら、これを」
紫苑がショルダーバッグから小さな立方体の匣を取り出した。
「?……うわぁ!」
匣を開けると黒い鳩が飛び出し、ベッドの柵に止まった。驚く時野に俺は説明する。
「俺の使い魔だ。細かい説明は言っても解らないだろうから省く。取り敢えず、こいつが俺達からのメッセージを伝える。逆に俺達に用がある時はこいつに話しかければいい。それから、こいつは他人には見えないし、声も他人には聞こえない。普段通り振舞ってくれて結構だ」
「えーと、は、はあ……」
「あ、大丈夫だよ、暴れたりはしないから……あと、万が一君が何かに襲われるようなことがあれば守ってくれるようになってるからね」
襲われるという言葉に反応したのか、時野が、ひっ、と声を出した。
「あっ、ごめん!そういう意味じゃ……」
「万が一だ、万が一。八代さんの発症までの期日や謎の男の行動を考えても、君に危害が及ぶことはそう無いさ」
「は、はい……」
「他に質問はあるか?」
「あ、いえ。特には……」
どうやらキリも良いようだし、そろそろ行くとしようか。
「さて、ここらで失礼させてもらうよ。詳細は追って連絡する。何かあったら使い魔に向かって話してくれ」
「はい。あの……」
「?」
「八代を、よろしくお願いします……!」
時野が頭を下げた。
「任せておけ」
俺は言って、病室を去った。
○
病院を出て篠崎を電話で呼び出したが、どうせ丁度良いだろうから「図書館」に来い、と言う。腹立たしいが好都合ではあるので、俺達は従ってやることにした。
バスで「柊」まで戻り、そこから歩いて十五分程の廃墟。部屋に入り、俺は奥にある少し古びたドアをノックする。
「入るぞ」
ドアを引くと、幾つかの長机と椅子が並んだ広い部屋。全体的に洋風なこの部屋は壁一面が書架に覆われていて、見上げると、数層ごとに足場を設けられた書架の壁が果てしなく続いていた。天井は余りの高さ故か確認できず、上方からは陽光のような光が降り注いでいる。
「おや、坂桐さん、茅野さん」
「やあやあ、来たな坂桐君、茅野君」
「来たよー、夜見ちゃん、篠崎さん」
書架の足場から床に降りてきた二人が言い、紫苑も挨拶を返す。スーツを身につけ、細い目をした、茶髪で痩身の青年。情報屋、篠崎晴臣。矢絣に袴という出で立ちで、眼鏡をかけた長い黒髪の少女。この「図書館」の主、司書、綴屋夜見。
「今週も仕事ですか。世間一般では祝日だというのに、ご苦労な事ですね」
客を呼びつけておいて、かける言葉はそれか。無礼な男だ。
「余計なお世話だ、どギツネ。俺達に休日も平日も祝日もねぇよ。それより、俺達は知りたいことがあるんだ」
「はい?」
「最近続出してる、原因不明の意識不明者について、だ……掴んでるか?」
俺はペンと手帳を出す。篠崎が微笑を浮かべて答えた。
「勿論」
キャラクターを立てるのって、難しいですねぇ……。登場人物の顔出しのために些か進行が鈍くてすみません。もっと簡単に、さり気なく説明や描写などできるようになりたいものです。